2025年12月、東京で開催されるCEEPO試乗会は、トライアスロンやエアロロードバイクに興味のあるアスリートにとって見逃せないイベントです。2025年12月6日(土)と7日(日)の2日間にわたって、2026年モデルの最新ラインナップを実際に体感できる貴重な機会となります。今回の試乗会では、Mamba-R、Katana 5.0、Viper-R、Shadow-Rといった注目のニューモデルが勢揃いし、青山・神宮外苑エリアという都心の実走環境で、これらの革新的なバイクの性能を確かめることができます。CEEPOは、日本発のトライアスロンバイクブランドとして、Takumi(匠)の精神を掲げ、空力性能への妥協なき追求と実戦におけるユーザビリティの融合を実現してきました。2026年モデルは、従来のトライアスロン専用という枠組みを超え、ロードレース、グラベル、ロングディスタンス・トライアスロンをシームレスに繋ぐ統合型プラットフォームへと進化しています。本記事では、12月の東京試乗会の詳細情報と、各ニューモデルの技術的特徴、そして試乗時のチェックポイントまで、包括的にご紹介します。

CEEPOブランドの哲学とものづくりの精神
CEEPOの製品を深く理解するためには、ブランドの根底にある哲学と歴史を知ることが重要です。CEEPOは2003年、愛知県で田中信行氏によって設立されました。その起源は1990年に遡ります。熱心なトライアスリートでもあった田中氏は、当時の市場に存在したロードバイクのジオメトリーが、トライアスロン特有の前乗りポジションや、水泳後の疲労した身体でのランニングへの移行に最適化されていないことに強い不満を抱いていました。この不満こそが、CEEPOというブランドの原動力となったのです。
田中氏はTakumi(匠)という言葉を用いて、CEEPOのデザイン哲学を定義しています。これは、トライアスロンで速く走るという一つの目的に対して一切の妥協を許さず、全神経を集中させて細部を磨き上げる職人の精神を指します。雑念やノイズを取り除き、絶対的な集中の領域に入ることで、機能美と性能を極限まで高めるプロセスそのものが、CEEPOのものづくりの本質なのです。
創業当初、CEEPOはニッチなトライアスロン専用ブランドとしての地位を確立しました。特に、UCI(国際自転車競技連合)の厳格な車両規定に縛られない自由な発想は、後述するShadow-Rのような異形フレームを生み出す土壌となりました。しかし、近年のCEEPOは、トライアスロンで培ったエアロダイナミクス技術をロードバイクやグラベルバイクに応用し、All Road, All Terrainへとその領域を拡張しています。この進化は単なる市場拡大戦略ではありません。空気抵抗という物理法則は、トライアスロンコースのアスファルトの上でも、未舗装のグラベルロードの上でも等しく作用するからです。CEEPOは、エアロダイナミクスを特定の競技のための特殊技術ではなく、自転車が前に進むための普遍的なエネルギー効率化技術として再定義しているのです。
さらに注目すべきは、プロロードレースへの挑戦です。ドイツのプロコンチネンタルチームBIKE AIDとのパートナーシップは、CEEPOの技術力がトライアスロン界の外でも評価され始めている証です。BIKE AIDは、革新的なファイバースポーク技術を持つ新興企業ONE-Kとの協業を通じて空力改善を模索していた際、CEEPOの存在に注目しました。日本の伝統的な鍛冶屋のような工房で開発される最先端技術に関心を寄せたチームが、ドイツの小さな村を訪れたエピソードは、技術者同士の共鳴を物語っています。この提携により、CEEPOのMamba-Rなどのモデルは、ツール・ド・フランスのようなステージレースに匹敵する過酷なプロロードレースの現場でテストされ、スプリントフィニッシュや山岳ステージでの性能が証明されています。
2025年12月東京試乗会の戦略的意義
2025年12月6日(土)と7日(日)に開催される東京での展示・試乗会は、2026年シーズンに向けた機材選定の重要な節目となります。この時期に試乗会が開催される意義は非常に大きいのです。
トライアスロンのシーズンは通常、秋に主要な大会であるアイアンマン世界選手権などが終了し、冬はオフシーズンとなります。この時期は、次のシーズンに向けたトレーニング計画の策定と、機材の刷新に最適なタイミングです。12月に最新モデルに試乗し、発注を行うことで、春先のシーズンインまでに十分なフィッティングと慣熟走行の期間を確保できるのです。新しいバイクに乗り慣れるには時間が必要であり、シーズンが始まる直前に機材を変更するのはリスクが高いため、この12月という時期は理想的なタイミングと言えます。
また、東京の12月は空気が乾燥し、視界がクリアになる一方で、北風が強まる傾向にあります。これはエアロダイナミクス性能を体感するには絶好の条件です。ビル風や突風が吹く都市部の環境下で、CEEPOのバイクがいかに横風を受け流し、直進安定性を保てるかを確認するまたとない機会となります。温暖な季節では気づきにくい、風に対するバイクの挙動を実際に体験できることは、購入を検討する上で極めて重要な判断材料となるでしょう。
試乗会の拠点として想定される青山・神宮外苑エリア、および提携ショップであるワイズロード新橋やお茶の水、なるしまフレンド神宮店などの周辺は、テストライドに理想的な環境を備えています。神宮外苑周回コースは信号が少なく、路面が比較的綺麗に整備されているため、時速30キロから40キロという一定の速度域での巡航性能を確認しやすい環境です。特にMamba-RやViper-Rのようなエアロバイクの速度維持のしやすさを体感できます。
皇居周辺や迎賓館エリアへと足を延ばせば、アップダウンが含まれる赤坂・四谷方面のルートを走ることができます。これにより、Katana 5.0の登坂性能や、下り坂でのハンドリング安定性をテストするのに適しています。さらに、都市部のストップアンドゴーを経験することで、信号待ちからのゼロ発進を繰り返し、BB周りの剛性や初期加速の反応性を確認できます。これは特にMamba-Rのロードバイクとしての資質を評価する際に重要となります。
試乗会で確認すべき重要ポイント
試乗会に参加する際には、ただ漫然と乗るのではなく、いくつかの重要なポイントに着目して評価することが大切です。まず直進安定性については、DHバーを握った状態で、横風や路面のギャップに対してバイクがふらつかないかを確認します。これはViper-RやKatanaで特に重要な評価項目です。高速巡航時にバイクが安定していることは、疲労軽減と安全性の両面で極めて重要です。
次に振動吸収性ですが、荒れたアスファルトの上で、路面の微振動が身体に伝わる度合いをチェックします。Shadow-RやMamba-Rは、フレーム設計によって振動を適度に吸収する工夫が施されており、長時間のライドにおける快適性に大きく影響します。特にアイアンマンのような180キロに及ぶバイクパートでは、この振動吸収性がランニングパートでのパフォーマンスを左右することもあります。
ハンドリングに関しては、コーナーへの進入時にバイクが素直に倒れ込むか、あるいはオーバーステア気味かを確認します。これはMamba-Rをロードモードで使用する際に特に重要です。ロードレースやグループライドでは、機敏なハンドリングが求められる場面も多いため、自分の乗り方に合ったフィーリングかどうかを見極めることが大切です。
剛性感については、ダンシング(立ち漕ぎ)をした際、BB周りがたわまずに推進力に変わるかをチェックします。Viper-RやKatanaは、パワーロスを最小限に抑える高い剛性を持っていますが、過度な剛性は乗り心地を損なうこともあるため、バランスが重要です。加速時にしっかりと前に進む感覚があるかどうかを確認しましょう。
最後に、コクピット調整の容易性も忘れてはいけません。試乗車であっても、サドル高やパッド位置の調整が容易に行えるかを確認することで、遠征時の組立容易性を推測できます。CEEPOは遠征のしやすさを重視しており、この点での使い勝手の良さは大きなアドバンテージとなります。
Mamba-R:境界を越える万能の一台
Mamba-Rは、CEEPOのラインナップの中で最も汎用性が高く、ロードバイクとトライアスロンバイクの境界を曖昧にする革新的なモデルです。2026年モデルでは、その二刀流としての性能がさらに洗練されています。
Quiver Killer(一台完結)という設計思想は、矢筒を空にする、つまりこれ一台あれば他のバイクは不要という意味を持ちます。経済的な事情や保管スペースの問題で複数のバイクを所有できないアスリートにとって、Mamba-Rは理想的な解となります。平日はロードバイクとしてトレーニングやグループライドに参加し、週末はDHバーを装着してトライアスロンレースに出場する。さらに、太いタイヤを履かせてグラベルライドへ繰り出すことさえ可能なのです。
この多様性を支えているのが、独自のリバーシブル(反転可能)カーボンシートポストです。シートポストを後退位置で使用するロード・ジオメトリーでは、シート角が72度から77度となり、Mamba-Rは伝統的なロードバイクの挙動を示します。重心が後方に移動し、ハンドリングはニュートラルで安定的となるため、長距離のグランフォンドや集団走行が求められるロードレースに適した設定となります。
一方、シートポストを反転させて前乗り位置にすると、シート角が77度から82度のトライアスロン・ジオメトリーに変化し、バイクの性格は一変します。腰の位置がボトムブラケットの真上に近づくことで、股関節の角度を開いたまま深い前傾姿勢を取ることが可能になります。これは、大腿四頭筋の負担を軽減し、ランニングに必要なハムストリングスを温存するための、トライアスロン特有の戦略的ポジションです。
Mamba-Rのフレーム形状は、CEEPOが長年培ってきたトランケーテッド・エアフォイル(後端を切り落とした翼断面)を採用しています。丸パイプと比較して空気抵抗を大幅に削減しつつ、完全な翼断面形状よりも横風の影響を受けにくく、かつ軽量に仕上がるのが特徴です。2026年モデルにおける最大のトピックは、ケーブル類のフルインテグレーション(完全内蔵化)です。Vision/FSAのSMRステムとACRヘッドセットシステムを組み合わせることで、ハンドル周りのワイヤー露出をゼロにしています。これは見た目の美しさだけでなく、ハンドル周辺の乱流を抑制し、数ワットの抵抗削減に貢献します。
メンテナンス性を懸念する声もありますが、SMRステムはハンドルを外さずにステム交換やスペーサー調整が可能な構造になっており、ユーザビリティへの配慮もなされています。フレーム重量は1,120グラム(Mサイズ、未塗装)、フォーク重量は450グラム(コラム未カット)と、エアロバイクとしては非常に軽量です。
注目すべきは、最大35ミリのタイヤクリアランスを持つことです。これは近年のオールロードトレンドに合致しており、30cや32cのタイヤを装着すれば、荒れた舗装路や石畳でも快適な巡航が可能です。Mamba-Rをエンデュランスロードとしても超一級品の性能へと昇華させる要素となっています。BB規格はBB386EVOを採用し、高い剛性と汎用性を両立しています。対応コンポーネントは、Shimano Di2/メカニカル、SRAM eTap/メカニカル、Campagnolo EPS/メカニカル、Classified Hubと幅広く、ユーザーの好みに応じた選択が可能です。
Katana 5.0:軽量性と実戦性の進化
CEEPOのベストセラーモデルであるKatanaは、2025年から2026年モデルでKatana 5.0へとメジャーアップデートを果たしました。そのコンセプトはLight, Fast & Easy to travel with(軽く、速く、そして遠征しやすい)です。
新型Katana 5.0の開発において、CEEPOはフレーム単体ではなく、ライダー、ポジション、アクセサリー、ストレージを含めた統合されたシステムとして設計を行いました。3Dプリント技術を用いて開発された専用のエアロツールボックスは、フレームのBB下部に完全にフィットし、空気の流れを整流する効果を持ちます。ツールボックスを装着した状態こそが、Katanaの最も空力性能が高い状態となるよう設計されているのです。これは、実際のレースでは補給食や修理工具を携行する必要があるという現実を踏まえた、極めて実戦的なアプローチです。
ロングディスタンス向けバイクとしては驚異的な、フレーム重量1,096グラム(Mサイズ)を実現しています。一般的なTTバイクが空力付加物のために重量増となる傾向がある中で、Katanaのこの軽さは特筆に値します。アイアンマン・ニースやレイクプラシッドのような、獲得標高が大きい難コースにおいて、この軽さはアドバンテージとなります。登り坂で重いバイクを引き上げるエネルギーを節約できるだけでなく、テクニカルな下り坂やコーナーでの切り返しにおいても、軽量な車体はライダーの意のままに操ることができます。
フレーム形状は、トップチューブがシートチューブに向かって細くなるテーパードデザインを採用しています。これにより必要な剛性を確保しつつ、不要な素材を削ぎ落として軽量化を図っています。また、シートステーの位置を下げたドロップド・シートステー形状により、前方投影面積を減らして空気抵抗を削減すると同時に、シートチューブのしなりを誘発し、路面からの突き上げを緩和する快適性を向上させています。
Katanaが多くのエイジグルーパー(一般アスリート)に愛される最大の理由は、そのメンテナンス性と組立の容易さにあります。特殊な専用ステムや専用ブレーキシステムを使用せず、一般的な規格のパーツで構成されているため、遠征先でのトラブル時にも現地のショップで修理対応がしやすく、梱包時にハンドルを外す作業も容易です。
シートポストの固定には、ダブルシートポストクランプとアンチスリップ・ウェッジカラーを採用しています。確実な固定力を持つだけでなく、シートポストを抜いてもサドル高のポジションが狂わないような工夫が施されており、遠征時の再組立ストレスを大幅に軽減します。フォーク重量は500グラム、タイヤクリアランスは最大32cです。ブレーキはフラットマウントディスク(140/160ミリ対応)を採用し、ヘッドセットは上が1.5インチ、下が1.5インチの規格です。エアロツールボックスは標準装備され、UCI認証も申請中です。
Viper-R:純粋なる速さの追求
ViperはCEEPOのフラッグシップであり、ブランドの象徴です。Viper-R(Viper 2.0世代)は、過去20年の空力研究の集大成として、Just Aero(ただ、速く)を体現しています。
Viper-Rの開発コンセプトは明確です。水泳から上がったアスリートを、最小限の空気抵抗で、最速でランニングのスタートラインまで送り届けること。そのために、フレーム形状は極限までスリム化され、翼断面形状が徹底されています。特にヘッドチューブ周りからダウンチューブにかけての造形は、Shadow-Rで培った整流効果の知見が活かされており、真正面からの風だけでなく、斜め前方からのヨー角のある風に対しても、推進力を失わない設計となっています。
Viper-Rの最大の特徴は、延長されたトレイル値と長いフロントセンターによる、圧倒的な直進安定性です。高速巡航時、特にディープリムホイールやディスクホイールを装着した状態では、横風によってハンドルが取られることがライダーにとって最大のストレスとなります。Viper-Rのジオメトリーは、この外乱に対してバイクが自律的に直進しようとする復元力を高めています。これにより、ライダーは恐怖感なくDHバーに身を預け、ペダリングのみに集中することができます。プロアスリートのローラ・シドールやロマン・ギヨームも、この高速域での安心感と疲労の少なさを高く評価しています。
Viper-Rはディスクブレーキ専用設計ですが、空力への配慮は徹底しています。CEEPO Aero Brake Technology (ABT)により、ブレーキキャリパー自体が気流を乱さないよう、フォークやフレームの陰に隠れるように配置・設計されています。また、ケーブル類はフル内蔵され、露出物は一切ありません。これにより、ディスクブレーキの制動力とコントロール性を享受しつつ、空力デメリットを相殺しています。
Viper-Rは、SRAM Red eTap AXSのような無線電動コンポーネントとの相性が抜群です。ケーブルが不要な無線システムは、Viperのクリーンな外観と空力性能をさらに引き立てます。タイヤクリアランスについては最大28cとされていますが、これは28ミリ以上のタイヤでは空力的に不利になる(タイヤがフレームからはみ出し、乱流を生む)というCEEPOの判断によるものです。CEEPOは、タイヤとフレームの間に常に4ミリのクリアランスを確保することを推奨しています。
Shadow-R:異形の快適性マシン
Shadow-Rは、自転車の形状に対する既成概念を破壊する、CEEPOの技術力のショーケースです。UCI規定に縛られないトライアスロン専用バイクとして、物理学的に正しい形状を追求した結果生まれた異形のマシンです。
Shadowシリーズの最大の特徴は、シートチューブを持たないビーム(梁)構造のフレームです。通常の自転車(ダイヤモンドフレーム)では、路面の衝撃はシートステーからシートチューブを通り、サドルへと直接伝達されます。しかしShadowでは、サドルを支えるのはトップチューブから伸びた水平のビームのみです。このビームが路面からの衝撃を受けて適度にしなることで、サスペンションのような減衰効果を発揮します。これにより、180キロに及ぶアイアンマンのバイクパートにおいて、ライダーの臀部や腰へのダメージを劇的に軽減します。
上位モデルShadow-Rに搭載されるサイドフォークは、フロントフォークがホイールの真横を覆う独特の形状をしています。これは単なるカバーではなく、フォークそのものです。回転するフロントホイール周辺は、スポークがかき回す空気によって激しい乱流が発生するエリアですが、サイドフォークはこの乱流を整流し、後方へとスムーズに流す役割を果たします。また、フォークが水平方向に伸びる形状のため、路面からの突き上げに対して板バネのように作用し、フロント周りの振動吸収性を高めています。
一見するとトップヘビー(重心が高い)に見えるShadow-Rですが、実際にはBB周りやダウンチューブ下部に重量物が集中しており、低重心化が徹底されています。ツールボックスやスペアキットもBB下部の最も低い位置に収納されるよう設計されており、横風を受けてもバイクが振られにくい構造です。試乗レビューによれば、最初の数キロこそ視覚的な違和感があるものの、ハンドリング自体は驚くほどニュートラルで、すぐに慣れることができるとされています。
Shadow-Rのフレーム重量は2,330グラムと、ビーム構造のため他のモデルより重めですが、その快適性は他の追随を許しません。腰痛持ちなど、身体への優しさを最優先したいロングディスタンスアスリートにとって、Shadow-Rは理想的な選択肢となります。
遠征のしやすさとメンテナンス性
ハイエンドバイクの購入において、スペック以上に重要なのが所有しやすさです。CEEPOはこの点において、競合ブランドに対して明確なアドバンテージを持っています。
CEEPOのバイク(特にKatanaやViper)は、ハンドル周りの分解・組立が容易になるよう設計されています。多くのスーパーバイクが専用のハンドルステム一体型コックピットを採用し、ケーブルが複雑にルーティングされているため、遠征時の梱包に専門メカニックの手を必要とするのに対し、CEEPOは汎用ステムや分割可能なスペーサーを採用することで、ユーザー自身が六角レンチ一本でハンドルを外し、バイクケースに収納することを可能にしています。これは、海外レースへの遠征費用やストレスを大幅に削減します。
BB規格(BB386EVO)やブレーキマウント(フラットマウント)、ヘッドセット規格などは、世界中どこでも入手可能な汎用規格を採用しています。万が一、レース当日にメカトラブルが発生しても、現地のメカニックサービスやショップにある部品で対応できる可能性が高いのです。独自規格パーツの欠品でレースを諦めるという最悪の事態を回避するための、実戦的な配慮です。
特にKatanaのツールボックスは、標準装備でありながら空力性能の一部として機能する優れた設計です。レース時に必要な補給食や工具を収納しながら、空気抵抗を減らすという一石二鳥の効果を発揮します。また、シートポストのダブルクランプシステムは、遠征先での組立時にポジションが狂わないよう配慮されており、現地での調整時間を最小限に抑えることができます。
各モデルの選び方と推奨用途
2026年のCEEPOニューモデルの中から、自分に最適な一台を選ぶための指針をご紹介します。
Mamba-Rは、最初の一台として、またはロードとトライアスロンを両立したい人に最適です。迷ったらこれを選ぶと言える万能機であり、平日はロードバイクとして、週末はトライアスロンバイクとして使い分けられる柔軟性が魅力です。グラベルライドにも対応できるため、多様なサイクリングスタイルを楽しみたい方に向いています。推奨される競技は、ロードレース、オリンピックディスタンスのトライアスロン、グラベルライドです。空力性能は高く、重量は標準的(1,120グラム)で、快適性は中から高レベル。拡張性は最高レベルで、遠征の容易性も高い評価です。
Katana 5.0は、記録更新を狙うエイジグルーパーに最適です。特に登りが苦手な人や、身体への負担を減らしたい小柄なライダーにおすすめです。フレーム重量が1,096グラムと非常に軽量でありながら、空力性能も非常に高いレベルを維持しています。推奨される競技は、ミドルディスタンスからロングディスタンスのトライアスロン(アイアンマン70.3やフルディスタンス)で、特にアップダウンのあるコースで真価を発揮します。快適性は高く、遠征容易性は最高レベルです。システムとしての完成度が高く、エアロツールボックスが標準装備されている点も魅力です。
Viper-Rは、バイクパートで圧倒的なタイムを稼ぎたいパワーライダーに向いています。風を切り裂く快感を求める人へ、純粋な速さを提供します。推奨される競技は、ロングディスタンスのトライアスロン(アイアンマン)で、特に平坦基調の高速コースで最大の効果を発揮します。空力性能は最高レベルで、直進安定性も抜群です。重量は標準的で、快適性は中レベル(剛性重視の設計のため)。拡張性は低く、トライアスロンに特化した設計となっています。
Shadow-Rは、他人と同じバイクに乗りたくない人、そして腰痛持ちなど身体への優しさを最優先したいロングディスタンスアスリートに最適です。ビーム構造による快適性は最高レベルで、荒れた路面でも疲労を最小限に抑えます。推奨される競技はロングディスタンスのトライアスロンです。空力性能は最高レベル(特殊環境下で有利)ですが、フレーム重量は2,330グラムとやや重めです。拡張性は低く、トライアスロン専用の設計です。遠征容易性は中レベル(構造が特殊なため梱包に注意が必要)となります。
2025年12月試乗会への参加方法
東京での試乗会に参加するには、事前の準備と予約が重要です。試乗会は通常、提携ショップを通じて予約を受け付けており、ワイズロード新橋、ワイズロードお茶の水、なるしまフレンド神宮店などが拠点となることが予想されます。試乗会の詳細情報は、CEEPOの公式ウェブサイトや提携ショップのSNSアカウントで随時更新されるため、こまめにチェックすることをおすすめします。
試乗会に参加する際には、自分のサイクリングウェアとシューズを持参することをおすすめします。特にトライアスロンバイクの試乗では、DHバーでのポジションを確認するため、普段使用しているヘルメットやサングラスも持参すると、より実戦に近い感覚で評価できます。また、冬の東京は気温が低いため、ウォーマーやジャケットなどの防寒具も忘れずに準備しましょう。
試乗時には、スタッフに自分の競技レベルや目標とするレース、現在使用しているバイクの情報などを伝えると、より適切なモデルとサイズを提案してもらえます。複数のモデルを試乗して比較することで、各モデルの特性の違いをより明確に理解できるでしょう。
2026年シーズンに向けた準備
12月の試乗会で気に入ったモデルを見つけたら、早めの発注がおすすめです。人気モデルは納期が長くなる傾向があり、春先のシーズンインに間に合わせるためには、年内の発注が理想的です。新しいバイクが手元に届いたら、まずは専門店でのフィッティングを受けることをおすすめします。特にトライアスロンバイクは、ポジションが性能に大きく影響するため、プロのフィッターに見てもらうことで、バイクのポテンシャルを最大限に引き出すことができます。
冬の間は、新しいバイクに慣れるための絶好の機会です。ローラー台でのトレーニングや、天候の良い日の実走を通じて、バイクの特性を身体に馴染ませていきましょう。特にDHバーでのポジションは、最初は違和感があるかもしれませんが、徐々に慣れていくことで、空力姿勢を長時間維持できるようになります。
また、新しいバイクでのトランジション練習も重要です。バイクラックからのバイクの出し入れ、DHバーへの手の置き方、ボトルの取り方など、レース当日にスムーズに動けるよう、繰り返し練習しておくことをおすすめします。メンテナンス方法も習得しておくと、遠征時のトラブルにも対応できます。
まとめ
2025年12月6日と7日に開催されるCEEPO試乗会は、2026年シーズンに向けた機材選びの絶好の機会です。Mamba-R、Katana 5.0、Viper-R、Shadow-Rという4つの個性的なニューモデルは、それぞれ異なる強みを持ち、アスリートの多様なニーズに応えます。日本発のブランドとして、Takumi(匠)の精神を貫き、空力性能と実戦性を高いレベルで融合させたCEEPOのバイクは、トライアスロンだけでなく、ロードレースやグラベルライドにおいても優れた性能を発揮します。
東京の青山・神宮外苑エリアという理想的な環境で、これらのバイクを実際に体験できることは、カタログやウェブサイトでは得られない貴重な情報をもたらしてくれます。直進安定性、振動吸収性、ハンドリング、剛性感、そして組立の容易性といった多角的な視点から評価することで、自分に最適な一台を見つけることができるでしょう。
冬の冷たい風の中でCEEPOのバイクを走らせたとき、きっと新しい速さの世界が広がるはずです。2026年シーズンの成功に向けて、この12月の試乗会を最大限に活用してください。


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