ダイワサイクルで購入できる初心者向け10万円台のロードバイクとして、プライベートブランド「ARTMA(アルテマ)」のRYLAS(ライラス)が税込131,780円で販売されています。このモデルは元プロロードレーサー辻善光氏の監修のもと開発され、前後ディスクブレーキ、スルーアクスル規格、シマノ製コンポーネントという現代のロードバイクに求められる基本性能をすべて備えた本格的なエントリーモデルです。ロードバイクの価格が高騰し、かつては10万円で手に入った信頼できるエントリーモデルが15万円後半から20万円近くへとシフトしている現在、RYLASは初心者が手の届く価格で「本物のロードバイク」を手に入れられる貴重な選択肢となっています。この記事では、RYLASのスペックや設計思想から、ダイワサイクルならではの購入メリット、競合モデルとの比較、購入後に必要なアイテムまで、初心者がロードバイクライフをスタートするために知っておくべきすべてを詳しく解説していきます。

- ロードバイク市場の現状と10万円台モデルの価値
- ダイワサイクルのプライベートブランドARTMAとは
- RYLASのジオメトリーと走行性能の特徴
- 低重心設計がもたらす走りの軽さ
- サイズ展開とフレームセット販売
- アルミフォーク採用の理由と実用的メリット
- シマノClaris R2000コンポーネントの実力
- 機械式ディスクブレーキの特徴とメリット
- 前後異径ローター設定のこだわり
- スルーアクスル規格採用の意義と将来性
- 競合モデルとの比較:GIANT Contend 2
- 競合モデルとの比較:KhodaaBloom FARNA Claris
- 競合モデルとの比較:NESTO FALAD PRO Disc
- ダイワサイクルの実店舗ネットワークがもたらす安心感
- ダイワサイクルの出張修理サービス
- ロードバイク購入時に必要な追加アイテム
- おすすめのアップグレードと優先順位
- ARTMA RYLASはどんな人におすすめか
ロードバイク市場の現状と10万円台モデルの価値
2020年代に入り、ロードバイクの価格は劇的に上昇しました。パンデミックによる物流の混乱、原材料費の高騰、そして円安という為替要因が重なったことで、かつて税込10万円で購入できたエントリーモデルは、軒並み15万円後半から20万円近い価格帯へと移行しています。ディスクブレーキの標準化という技術的進歩によるコスト増も一因ですが、それ以上に物価の上昇が趣味としてのロードバイクへの入り口を狭めている現実があります。
この価格高騰が生み出した空白地帯には、5万円から8万円程度の「ロードバイクのような自転車」が存在しています。これらは俗に「ルック車」と呼ばれ、ドロップハンドルこそ装備しているものの、フレームの設計思想や重量、パーツの規格はシティサイクルの延長線上にあることが多いのが実情です。通勤や通学の足として利用することは可能ですが、スポーツとしてサイクリングを楽しみたい、速く遠くへ走る快感を味わいたいという動機でロードバイクを探しているユーザーにとっては、早晩性能的な限界を感じることになります。
真の意味での本格ロードバイクとは、人間工学に基づいた競技用の設計(ジオメトリー)がなされていること、スポーツ走行の負荷に耐えうる剛性と耐久性を備えていること、そして汎用的な規格を採用しておりパーツの交換やアップグレードが可能であることと定義できます。この「本格」の条件を満たしつつ、初心者が手の届く価格で提供されるモデルが市場から消えつつある中、ダイワサイクルのARTMA RYLASは10万円台で本格的なロードバイクを手に入れられる貴重な存在なのです。
ダイワサイクルのプライベートブランドARTMAとは
ARTMAは、日本国内で130店舗以上を展開する大手自転車チェーン「ダイワサイクル」のプライベートブランドです。その第一弾として投入されたロードバイクがRYLASであり、元プロロードレーサー辻善光氏(愛称:Zenko)の監修のもと開発されました。
辻氏の関与は単なる「名前だけの監修」ではありません。開発の初期段階からジオメトリーの決定、パーツの選定、走行テストに至るまで、氏の哲学が色濃く反映されています。現役時代に圧倒的なスプリント力を武器に戦った辻氏は、機材に対して極めてシビアな視点を持っています。彼がRYLASの開発において最も重視したのは、「カタログスペック上の見栄え」よりも「ロードバイクとしての正しい挙動」を実現することでした。
初心者が最初に乗るバイクだからこそ、変な癖がなく、ペダリングの入力に対して素直に反応し、曲がりたい方向にスムーズに曲がるという「基本」が高次元で達成されていなければならないというのが辻氏の信念です。RYLASはこの信念に基づいて設計されており、初心者が正しいロードバイクの挙動を学べる一台となっています。
RYLASのジオメトリーと走行性能の特徴
近年のエントリーロードバイク市場では、エンデュランス(耐久・快適)志向が主流となっています。ハンドル位置を高く手前に設定することで、前傾姿勢に不慣れな初心者でも楽な姿勢で乗れるように配慮した設計です。一見親切な設計に見えますが、辻氏はこれに対してある種のアンチテーゼを提示しています。
RYLASはエントリーモデルでありながら、あえてレーシングに近いジオメトリーを採用しています。ヘッドチューブ長を過度に長くせず、ライダーが慣れてきた際にハンドル位置を低く調整できる余地を残しているのです。ロードバイクの最大の魅力は風を切って走るスピード感にあり、そのためには空気抵抗を低減し全身の筋肉を効率よく使える前傾フォームが不可欠です。最初からアップライトすぎる姿勢に固定されてしまうと、ライダーが成長し「もっと速く走りたい」と願った時に機材がその障壁となってしまいます。RYLASは初心者の未来の成長を見据え、レース参戦さえも視野に入れられるポテンシャルを秘めた設計となっています。
RYLASのジオメトリーは直進安定性とコーナリングの鋭さを両立させることに主眼が置かれています。辻氏の解説によれば、RYLASは直進安定性が高いためロングライドでの疲労軽減や高速ダウンヒルでの安心感につながります。一方でタイトなコーナーや障害物回避の際には意図した通りに曲がるシャープなハンドリングも持ち合わせています。
一般的に直進安定性を高めるとハンドリングは重くなり、ハンドリングを鋭くすると直進安定性は損なわれるというトレードオフの関係にあります。RYLASではヘッドアングルやフォークオフセット、ホイールベースのバランスを絶妙に調整することでこの二律背反する要素を融合させています。特に初心者が恐怖心を抱きやすい下りに対する配慮として、速度が出た状態でも車体がふらつかずどっしりと路面を捉える設計は、初心者がリラックスしてバイクを操作するための安全装置として機能します。
低重心設計がもたらす走りの軽さ
RYLASの車体重量はカーボンバイクや超軽量アルミバイクと比較すると数値上は決して軽い部類には入りません。しかし辻氏は「実際に乗った時の走りの軽さ」を強調しています。自転車の重量には「静止重量(持ち上げた時の重さ)」と「動的重量(走った時に感じる重さ)」の二つの側面があります。
RYLASはフレームの重心位置を低く設計することで、ダンシング(立ち漕ぎ)やコーナリング時の「振りの重さ」を軽減しています。重心が低いバイクは地面に吸い付くような安定感を生み出し、ライダーがバイクを左右に振った際のリズムが取りやすくなります。また、フレームの剛性が適切に確保されていればペダルを踏み込んだ力がフレームの変形によって吸収されることなくダイレクトに推進力へと変わります。これにより数値上の重量よりも軽く進む感覚、いわゆる「反応の良さ」が得られるのです。
RYLASはカタログ上の軽さを追求するあまりフレームの剛性を犠牲にするという、安価な軽量バイクが陥りがちな罠を回避しています。見た目のスペックよりも実際の走行性能を重視した設計思想がここにも表れています。
サイズ展開とフレームセット販売
発売当初は480サイズのみの展開でしたが、2025年春を目処に430サイズと520サイズの追加が開発中であることが明らかにされています。ロードバイクにおいて適切なサイズを選ぶことは性能を発揮するために不可欠です。480サイズが日本人の平均的な身長(概ね165cmから175cm前後)をカバーしつつ、430サイズが追加されればジュニア世代や小柄な女性ライダーにとっても有力な選択肢となるでしょう。
また、フレームセット単体での販売(税込87,780円)も行われている点は特筆に値します。これは「自分の好きなパーツで組み上げたい」という中級者以上のニーズや、「落車でフレームを破損した際の載せ替え」といった需要にも応える、極めて異例かつ良心的な設定です。フレームの素性に自信があるからこそ可能な販売形態であり、RYLASがパーツをアップグレードしながら長く付き合っていけるベース車両として設計されていることの証でもあります。
アルミフォーク採用の理由と実用的メリット
現代のロードバイク市場において、エントリーモデルであってもフロントフォークにはカーボン素材を採用するのが半ば常識となっています。カーボンは振動吸収性に優れ軽量であるため、路面からの衝撃を和らげライダーの手の疲れを軽減する効果があります。しかしARTMA RYLASはこのトレンドに逆行するかのようにフルアルミフォークを採用しています。
カタログスペック至上主義の視点で見ればこれは明らかな「スペックダウン」であり、コストカットの象徴としてネガティブに捉えられる可能性があります。しかしRYLASにおけるアルミフォークの採用には、辻監修ならではのより実践的で深い理由が存在します。
辻氏によれば、低価格帯の完成車に採用される安価なカーボンフォークはコスト制約の中で製造されるため、カーボンシートの積層数や樹脂の質において妥協せざるを得ず、結果として剛性が不足しているケースがあるといいます。剛性の低いフォークはブレーキング時や高速コーナリング時に撓みやブレを生じさせます。ディスクブレーキは強力な制動力を発揮するためフォーク先端には強烈なねじれの力が加わりますが、剛性不足のカーボンフォークではこの力に耐えきれずフォークが振動したりハンドリングが不安定になったりするリスクがあります。これは技術の未熟な初心者にとって恐怖心や転倒の原因となりうる危険な挙動です。
これに対しRYLASのアルミフォークは重量こそカーボンに劣るものの、金属特有の高い剛性と均質性を確保しています。これによりハードなブレーキングでもフォークが負けることなくライダーの操作に対してリニアに反応します。「中途半端なカーボンフォークで挙動不審なバイクになるくらいなら、多少重くても剛性の高いアルミフォークで意図した通りに走るバイクを提供する方が初心者にとってメリットが大きい」という判断です。これはレースの現場を知り尽くした人間だからこそ下せる、非常に割り切ったしかし理にかなった決断と言えます。
アルミフォークの弱点である振動吸収性の低さについては、現代のタイヤの進化によって解決しつつあります。かつてロードバイクのタイヤは23Cが主流で高圧にして乗るのが常識でしたが、現在は25C、28C、そして30C以上のワイドタイヤが標準となりつつあります。タイヤが太くなればその分空気の量が増え空気圧を下げて乗ることができ、タイヤ自体がサスペンションの役割を果たします。RYLASはディスクブレーキモデルであり比較的太いタイヤを装着することが可能なため、タイヤのエアボリュームを活かすことでアルミフォークのネガティブな要素を実用上問題ないレベルまで相殺することが十分に可能です。
シマノClaris R2000コンポーネントの実力
ARTMA RYLASにはメインコンポーネントとして日本のシマノ社製Claris R2000シリーズが採用されています。ロードバイクのコンポーネントにはDURA-ACE、ULTEGRA、105、Tiagra、SORA、Clarisという明確なヒエラルキーが存在し、Clarisは入門用グレードに位置します。
入門用と聞くと性能に不安を感じるかもしれませんが、現行のR2000系Clarisの完成度は極めて高いものです。上位グレード譲りのデザインとエルゴノミクスを取り入れ、変速のスムーズさやレバーの操作感はフィットネスやサイクリング用途であれば全く不満を感じないレベルに達しています。シフトケーブルがハンドルバーに沿って内蔵されるデザインはハンドル周りをすっきりと見せ、フロントバッグなどのアクセサリーを取り付けやすくする実用的なメリットもあります。
Clarisはリアが8速の仕様であり、上位モデルの11速や12速と比較するとギアの枚数が少なくなります。これはギアとギアの重さの差が大きいことを意味し、長距離走行時に最適なペダリングリズムを維持しにくいというデメリットがあります。しかし初心者にとってこれが致命的な欠点になることは稀です。むしろ8速チェーンやスプロケットは上位グレードに比べて耐久性が高く、消耗品の価格も圧倒的に安いという大きなメリットがあります。ランニングコストを抑えたい初心者や学生にとってClarisは経済的で頼もしいパートナーとなり得ます。
RYLASには11-34Tというワイドレシオのスプロケットが搭載されています。34Tという非常に軽いギアが含まれているため、脚力に自信のない初心者でも峠道や急な坂道を座ったまま登り切ることが容易になります。フロントのチェーンリングとの組み合わせにより、平坦な道から激坂まであらゆるシチュエーションに対応できるギア比が確保されています。
一方でコストダウンの影響が見られる部分もあります。RYLASに標準装備されているチェーンについて変速性能の指摘があり、購入後に変速の不調や音鳴りを感じるようであればチェーンをシマノ純正に交換することを検討してもよいでしょう。シマノ純正チェーンはDURA-ACEグレードでも数千円程度で購入可能です。また将来的にクランクセットをシマノ純正のClarisや上位グレードに交換することでフロント変速の性能と剛性感をさらに高めることができます。こうしたカスタムによる伸び代が残されている点も、ホビーとしてのロードバイクの楽しみ方の一つと言えるでしょう。
機械式ディスクブレーキの特徴とメリット
RYLASの最大のトピックの一つが前後ディスクブレーキの採用です。近年ロードバイクのブレーキシステムは従来のリムブレーキからディスクブレーキへと完全に移行しました。雨天時でも制動力が落ちにくいこと、リムを摩耗させないこと、スルーアクスルによる剛性アップなどそのメリットは計り知れません。10万円台前半でしっかりとディスクブレーキ規格を採用している点はRYLASの将来性を保証する大きな要素です。
ディスクブレーキには油圧で作動するタイプとワイヤーで作動する機械式(メカニカル)タイプの2種類があり、RYLASが採用しているのはシマノ製の機械式ディスクブレーキです。一般的に制動力の絶対値やレバーの引きの軽さでは油圧式に軍配が上がりますが、機械式には初心者にとって見逃せないメリットが複数存在します。
第一にメンテナンスの容易さがあります。油圧式は専用のオイルやブリーディングキットが必要でエア抜きなどの作業には専門知識と経験を要しますが、機械式は従来のブレーキワイヤーの構造と同じであるため出先でのトラブル対応や調整が容易です。
第二に輪行(電車などに自転車を載せて移動すること)への適性があります。油圧式はホイールを外した状態でレバーを握ってしまうとピストンが出過ぎてしまうトラブルやエア噛みのリスクがあるため取り扱いに注意が必要ですが、機械式はそのようなデリケートな扱いが不要であり旅先でのトラブルに強いです。様々な場所へ走りに行きたいと考えるアクティブな初心者にとって大きな利点となります。
第三にブラケットの大きさがあります。油圧式のClarisグレードのSTIレバーはオイルタンクを内蔵するため大型化してしまう傾向がありますが、機械式のレバーはコンパクトで手の小さい人でも握りやすい形状をしていることが多いです。
前後異径ローター設定のこだわり
RYLASのブレーキ設定で特筆すべきはフロントに160mm、リアに140mmという異なるサイズのローターを採用している点です。制動時の荷重は物理法則上前輪に大きくかかります。そのためフロントには制動力と放熱性に優れる大径の160mmを採用し確実なストッピングパワーを確保しています。一方荷重が抜けてロックしやすいリアにはコントロール性を重視して小径の140mmを採用しています。
多くのエントリーモデルではコスト削減や管理の簡素化のために前後とも160mmで統一されることが多い中、RYLASはあえて前後異径を採用しています。これは実際の走行シーンにおけるブレーキの効き方やコントロール性を熟慮した監修者のこだわりが強く反映された部分です。「ただ止まればいい」ではなく「コントロールして止まる」というスポーツドライビングの基本を学ぶための仕様と言えます。
スルーアクスル規格採用の意義と将来性
エントリーグレードのディスクロードにおいてコストカットのために古い規格であるクイックリリースが採用されるケースが散見されますが、RYLASは前後ともに12mmスルーアクスルを採用しています。これは現代のロードバイクにおける世界標準規格です。
クイックリリース方式のディスクロードはホイールの固定位置が微妙にズレやすく、ブレーキローターとパッドが接触して音鳴りが発生しやすいという構造上の弱点があります。また固定力が弱いためディスクブレーキの強力なストッピングパワーを受け止めきれずフォークやフレームの末端にねじれが生じることがあります。
対してスルーアクスルは太いシャフトをフレームの穴に通しねじ込んで固定するため、圧倒的な剛性と固定精度を誇ります。常に同じ位置にホイールがカチッと固定されるため音鳴りのトラブルも極小化され、フレームとホイールが一体化したような剛性感を生み出します。
スルーアクスル規格を採用している最大のメリットはホイールの選択肢が豊富であることです。現在市場に流通している高性能な完組ホイールのほとんどは12mmスルーアクスル用です。ロードバイクの性能を最も劇的に変えるカスタムはホイール交換であり、RYLASのフレームは最新規格に準拠しているため将来的に上位グレードのホイールを購入しそのまま装着することが可能です。これがクイックリリース規格のバイクであれば対応するホイールを探すのに苦労し、結果としてバイクごと買い替える必要に迫られるでしょう。
競合モデルとの比較:GIANT Contend 2
10万円台前半から中盤の市場におけるRYLASの立ち位置を明確にするため、主要な競合モデルとの比較を見ていきましょう。
世界最大の自転車メーカーGIANTのベストセラー「Contend 2」は実勢価格11万円から12万円程度とRYLASより安価である場合が多く、強力なライバルです。Contend 2は非常にバランスの取れた名車であり、軽量なアルミフレームとカーボンフォークを採用している点が強みです。
しかし決定的な違いはブレーキシステムにあります。Contend 2はこの価格帯ではリムブレーキ仕様です。メンテナンスは簡単ですが、雨天時の制動力やカーボンホイールへのアップグレードの将来性を考えるとディスクブレーキのRYLASに分があります。GIANTでディスクブレーキモデルを選ぼうとすると価格はRYLASを大きく上回る可能性が高いです。同価格帯でディスクブレーキかつスルーアクスルという点でRYLASのコストパフォーマンスは際立っています。
競合モデルとの比較:KhodaaBloom FARNA Claris
日本のコーダーブルームが展開するFARNAシリーズもコストパフォーマンスの高さで定評があります。FARNA Clarisは11万円から12万円程度で日本人の体型に合わせた設計や軽量なフレームが魅力です。
RYLASとの比較においてはジオメトリーの性格が差別化ポイントとなります。FARNAはエンデュランスロード寄りの設計で安定感と快適性を重視しているのに対し、RYLASはレーシング寄りの設計で反応の良さとハンドリングの鋭さを重視しています。ゆったりと景色を楽しみたいならFARNA、スポーツとして積極的に走りを操作したいならRYLASという選び分けができるでしょう。
競合モデルとの比較:NESTO FALAD PRO Disc
同じく日本ブランドNESTOのFALAD PRO DiscはRYLASと最もコンセプトが近いライバルと言えます。価格も12万円から13万円前後と完全に競合しており、機械式ディスクブレーキやスルーアクスル採用とスペック面での共通点が多いです。
差別化のポイントは設計思想の背景とサポート体制にあります。FALAD PROも走りの良さを謳っていますが、RYLASは辻善光氏監修という明確なプロの味付けがバックボーンにある点がユニークです。また後述するダイワサイクルという実店舗での強力なサポート体制がパッケージングされている点が、通販主体の購入や敷居の高いプロショップでの購入に躊躇する初心者にとって大きなアドバンテージとなります。
ダイワサイクルの実店舗ネットワークがもたらす安心感
ロードバイクは「買って終わり」の家電製品ではありません。定期的なメンテナンス、変速機の調整、ブレーキパッドやタイヤなどの消耗品の交換が不可欠な乗り物です。特に初心者の場合「変な音がする」「空気がうまく入らない」「チェーンが外れて直せない」といったトラブルに頻繁に直面します。
ダイワサイクルは全国(特に関東・関西・中部エリア)に広範な実店舗ネットワークを展開しており、RYLASを購入した店舗以外でも同様のサービスを受けられる可能性が高いです。これは通勤や通学で利用するユーザーにとって大きな安心材料です。ネット通販で購入したバイクのメンテナンスを断る自転車店も存在する中、自社ブランド製品として堂々と持ち込める場所があることは心強いでしょう。
ダイワサイクルの出張修理サービス
ダイワサイクルの独自サービスである「出張修理」は初心者にとってまさに命綱とも言えるサービスです。ダイワサイクルで購入した自転車であれば「ダイワサポートパック(有料会員制度)」に加入することで出張費無料で修理に来てもらえるサービスが存在します。
ロードバイクで最も多いトラブルであるパンクが発生した際、初心者はその場でチューブ交換やパッチ修理を行うことが難しいです。雨の日や夜間、あるいは近くに自転車屋がない場所でパンクした場合途方に暮れることになります。しかし電話一本でプロが駆けつけてくれるこのサービスがあればメカトラブルへの恐怖心を大幅に軽減できます。これはスペック表には現れないしかし実用上極めて大きなRYLASだけの付加価値です。
ダイワサイクルではパンク予防剤(シーラント)の注入サービスやそれに関連するクーポンの配布も行っています。ロードバイクのタイヤは細く高圧であるためパンクのリスクがつきものですが、あらかじめ予防剤を入れておくことで小さな穴であれば自動的に塞がり走行を継続できる場合があります。こうした実用性重視のサービス提案も日常使いを想定したユーザーへの配慮が行き届いている点です。本格的なロードバイクでありながらママチャリ的な利便性や安心感も享受できるハイブリッドな環境が整っています。
ロードバイク購入時に必要な追加アイテム
RYLASの車体価格は約13万円ですが、ロードバイクライフをスタートさせるには車体以外にも必須のアイテムがあり予算計画にはこれらを含める必要があります。
まずライト(前後)は道路交通法上の義務であるだけでなく自身の命を守るために、USB充電式の明るい(400ルーメン以上推奨)フロントライトと視認性の高いリアライトが必要です。
次に鍵はロードバイクが盗難のリスクが高いため、細いワイヤーロックではなく頑丈なチェーンロックやU字ロックを選びたいところです。
そしてフロアポンプ(空気入れ)はロードバイクのタイヤバルブが「仏式(フレンチバルブ)」という特殊な形状をしておりママチャリ用の空気入れはそのままでは使えないことが多いため、高圧(6から7気圧以上)まで楽に入れられる空気圧計付きの専用ポンプが不可欠です。
さらに安全のためのヘルメットと手のひらの痛みを軽減し転倒時の怪我を防ぐグローブもマストアイテムです。これらを揃えると車体価格プラス2万円から3万円程度の初期投資が必要となることを覚えておきましょう。
おすすめのアップグレードと優先順位
RYLASに慣れてきてさらに快適に速く走りたいと感じたら、以下の順序でパーツを交換することでその性能をさらに引き出すことができます。
最も費用対効果が高いのがタイヤの交換です。完成車に付属しているタイヤはコストと耐久性を重視しているため重くグリップ力もそこそこのものが多いです。これを高性能なタイヤに交換するだけで走りの軽さ、乗り心地、コーナリングの安定感が劇的に向上します。まさに「別の自転車になった」かのような変化を体感できるはずです。
次にブレーキ周りです。機械式ディスクブレーキのタッチや制動力を高めるためにシマノ純正の上位グレードのブレーキパッドや低摩擦の高品質なブレーキワイヤーに交換するとレバーの引きが軽くなり指一本でコントロールできるような操作感を得られます。
そして前述の通りチェーンをシマノ純正の上位グレードに交換することで変速のスムーズさを向上させることができます。
ARTMA RYLASはどんな人におすすめか
ARTMA RYLASは現在のインフレ化したロードバイク市場において奇跡的とも言えるバランスで成立しているプロダクトです。13万円台という価格で前後スルーアクスル、ディスクブレーキ、シマノコンポという現代ロードバイクの必須要件を満たし、さらに元プロレーサーの監修による本物の走りを注入している点はそれだけで高く評価されるべきです。
アルミフォークの採用については賛否両論あるかもしれません。しかしコストのために中途半端なカーボンを使うくらいなら信頼できるアルミを使うという哲学は、カタログスペック上の見栄えよりも実際にライダーが乗った時の安全性と操作性を第一に考えた極めて誠実な回答であると言えます。
RYLASは予算を15万円以内に抑えたいがルック車ではなく将来性のある本格的なロードバイクが欲しい人にとってベストな選択肢となります。この価格帯でこれほど拡張性の高いフレーム設計を持つバイクは稀有です。
また通勤や通学などの実用と週末のサイクリングやフィットネスを両立させたい人にも適しています。アルミフレームとアルミフォークの頑丈さはラフな日常使いにおいても安心感があります。
そしてメカトラブルに不安がありダイワサイクルの実店舗での手厚いサポートを受けたい人にとっても最適です。出張修理サービスは他メーカーにはない強力な付加価値です。
逆にブランドロゴのステータスを何より重視する人や最初から最高の快適性を求める人には向かないかもしれません。しかし初めてのロードバイクとしてスポーツサイクルの基礎を学び走る楽しさを体感するための相棒としてRYLASは現在市場で最も有力な選択肢の一つです。このバイクは単なる移動手段ではなく、ライダーと共に成長しカスタムを重ねることでいつかレースという舞台にさえ連れて行ってくれる可能性を秘めた紛れもないレーシングマシンの原石なのです。


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