自転車を利用する方にとって、交通ルールの理解はこれまで以上に重要になっています。2024年5月17日に道路交通法の改正が可決・成立し、自転車の交通違反に対する取り締まりが大きな転換期を迎えました。2026年4月1日からは自転車にも青切符による交通反則通告制度が導入されることが決定し、違反者には反則金が科されることになります。さらに、2024年11月1日からはながら運転と酒気帯び運転に対する罰則が大幅に強化されており、すでに施行されています。これらの制度改正により、自転車利用者は従来よりも厳格に交通ルールを守ることが求められるようになりました。本記事では、自転車の青切符と赤切符の違い、信号無視をはじめとする各種違反の罰則、そしてそれらを比較しながら、自転車利用者が知っておくべき重要な情報を詳しく解説していきます。

青切符と赤切符の根本的な違いとは
自転車の交通違反に対しては、違反の重大性によって青切符と赤切符という2種類の切符が交付されます。この2つの違いを理解することは、自転車利用者にとって非常に重要です。
青切符は正式名称を交通反則告知書といい、比較的軽微な違反を対象とした制度です。最大の特徴は、指定された反則金を納付することで刑事処分を免除される点にあります。つまり、反則金を期限内に納めれば刑事裁判を受けることがなく、前科もつきません。この仕組みは自動車やバイクなどで既に導入されている制度と同じであり、多くの方にとって馴染みのある制度といえるでしょう。
自転車に対する青切符制度は2026年4月1日から導入されることが正式に決定しており、対象となるのは16歳以上の自転車運転者です。対象となる違反行為は113種類にのぼり、反則金の額は3000円から12000円までの範囲で、違反の内容に応じて4段階に設定されています。
一方、赤切符は正式には交通切符と呼ばれ、重大な交通違反に対して交付される書類です。赤切符が交付されると刑事処分を前提とした手続きが進められるため、行政処分と刑事処分の両方が科される可能性があり、有罪判決を受ければ前科がつくことになります。これは青切符とは大きく異なる点であり、違反者の人生に重大な影響を及ぼす可能性があります。
赤切符の対象となる重大違反には、酒酔い運転、酒気帯び運転、無免許運転、ひき逃げなどがあります。また、ながら運転で交通の危険を生じさせた場合や、妨害運転なども赤切符の対象となります。14歳以上の者が対象となり、違反すると自転車運転者講習の受講が科される場合があります。
青切符と赤切符の最も重要な違いは、刑事処分を受けるかどうかという点です。青切符の場合は反則金を納付すれば刑事手続きが免除されますが、赤切符の場合は刑事手続きに進み、有罪となれば前科がつきます。また、対象となる違反の重大性も異なり、青切符は比較的軽微な違反、赤切符は重大な違反に適用されるという明確な区分があります。
2026年4月から始まる青切符制度の全容
2026年4月1日から、自転車の交通違反に対して青切符による交通反則通告制度が適用されることになりました。この制度の詳細を理解しておくことは、すべての自転車利用者にとって必要不可欠です。
青切符制度の対象となるのは16歳以上の自転車運転者です。対象となる違反行為は113種類にのぼり、現認可能で明白かつ定型的な違反行為が中心となっています。具体的には、信号無視、一時不停止、逆走、通行区分違反、ながら運転、二人乗り、並走、無灯火、傘差し運転など、日常的に見かける違反行為が幅広く含まれています。これらの違反は、これまでも道路交通法で禁止されていましたが、実際の取り締まりは限定的でした。しかし、青切符制度の導入により、取り締まりが大幅に強化されることになります。
反則金の額は違反行為の種類によって3000円から12000円までの4段階に設定されています。最も高額な12000円の反則金が科されるのは、走行中の携帯電話使用、いわゆるながら運転です。スマートフォンなどを手に持ち、画面を見ながら運転する行為が該当し、この行為の危険性の高さが反則金の額に反映されています。
6000円の反則金が科されるのは、信号無視、逆走(道路の右側通行)、歩道通行などの通行区分違反です。これらは交通事故に直結しやすい危険な違反行為として、比較的高額な反則金が設定されています。特に信号無視と逆走は、重大事故を引き起こす可能性が高い違反として重点的に取り締まられることになるでしょう。
5000円の反則金が科されるのは、ブレーキがないピスト自転車での走行、一時不停止、制動装置不良、傘差し運転、イヤホン使用、無灯火運転などです。これらの違反も事故につながる危険性が高い行為として、一定の額の反則金が設定されています。
最も低額な3000円の反則金が科されるのは、二人乗りや2台以上の並走です。これらは他の違反と比較すると危険性は低いものの、交通の妨げになる行為として取り締まりの対象となっています。
警察は青切符制度の運用にあたって、いくつかの基本方針を示しています。まず、取り締まりの重点は交通事故に直結する危険な行為に置かれます。例えば、歩道通行の場合でも、猛スピードで歩行者を立ち止まらせる行為など、危険が及ぶ場合を除いては、指導・警告にとどめ、切符交付の対象にしない方針です。これは、すべての違反を画一的に取り締まるのではなく、実際の危険性を考慮した運用を行うという姿勢を示しています。
また、違反者に対しては、まず指導警告が行われ、その後も違反を繰り返した運転者に対して青切符が交付されるという流れになる見込みです。これは自転車利用者に対する啓発と教育を重視し、いきなり罰則を科すのではなく、段階的に対応するという考え方に基づいています。ただし、悪質な違反や危険性の高い違反については、初回であっても青切符が交付される可能性があります。
青切符制度が自転車にも導入される背景には、自転車による交通事故の多さと、これまでの取り締まりの限界がありました。従来、自転車の交通違反に対しては赤切符による刑事手続きしかなく、軽微な違反であっても刑事手続きを取る必要があったため、取り締まりの現場では事実上の困難がありました。その結果、多くの違反が見過ごされ、自転車の交通マナーの悪化を招いていたのです。
青切符制度の導入により、違反者は反則金を納付することで刑事処分を免れることができ、警察側も簡便な手続きで違反を取り締まることができるようになります。これにより自転車の交通違反に対する取り締まりが強化され、自転車利用者の交通マナー向上と交通事故の減少が期待されています。
信号無視の罰則を徹底解説
信号無視は自転車の交通違反の中でも特に危険な行為の一つであり、重点的に取り締まられる違反です。ここでは信号無視に対する罰則について詳しく解説します。
道路交通法では、信号機の表示する信号に従う義務が定められており、自転車もこれに従わなければなりません。赤信号で交差点に進入する行為はもちろん、黄色信号で安全に停止できるにもかかわらず進行する行為も信号無視に該当します。多くの自転車利用者が軽く考えがちな黄色信号での進行も、法律上は違反行為となることを理解しておく必要があります。
現行の道路交通法では、信号無視をした場合、3か月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金が科されると定められています。これは赤切符による刑事処分の対象となる罰則です。しかし実際には、軽微な信号無視で赤切符が交付されるケースは限られており、多くの場合は警察官による口頭注意で済まされていたのが実情でした。この状況が、自転車の信号無視が横行する一因となっていました。
2026年4月1日からは、信号無視に対して青切符が交付され、反則金6000円が科されることになります。これにより、信号無視をした自転車運転者は、反則金6000円を納付することで刑事処分を免れることができます。ただし、反則金を納付しない場合や、悪質な信号無視の場合は、従来通り赤切符による刑事手続きに進むこともあります。
信号無視が危険な理由は、交通事故の原因として非常に多く、特に交差点での出会い頭の事故を引き起こしやすい点にあります。自動車が青信号に従って交差点に進入する際、赤信号を無視して交差点に進入してきた自転車と衝突する事故が多発しています。このような事故では、自転車側が重大な怪我を負うケースが多く、死亡事故につながることもあります。自転車は自動車と比べて車体が小さく、衝突時の衝撃を直接受けやすいため、重大な結果を招きやすいのです。
また、歩行者用信号を無視して横断歩道を渡る自転車も問題となっています。歩行者が青信号で横断歩道を渡っている最中に、自転車が赤信号を無視して突っ込んでくるケースがあり、歩行者との接触事故も発生しています。特に高齢者や子どもとの接触は、重大な怪我につながる危険性が高くなります。
警察は信号無視の取り締まりを強化する方針を示しています。特に、交通事故が多発している交差点や、通学路における信号無視については重点的に取り締まりを行うとしています。また、自転車用の信号機が設置されている場所では、自転車用信号に従う義務があることも周知されています。自転車用信号がある場合は、歩行者用信号ではなく、自転車用信号に従わなければならない点に注意が必要です。
2024年11月から施行された罰則強化の実態
2024年11月1日から、自転車のながら運転と酒気帯び運転に対する罰則が大幅に強化されました。これらの違反は、2026年4月の青切符制度導入に先駆けて、既に厳しい罰則が適用されています。
従来、自転車のながら運転に対する罰則は5万円以下の罰金のみでしたが、2024年11月1日からの改正により、自転車も原付や自動車に準じた厳しい罰則を受けることになりました。スマートフォンなどを手に持ち、画面を見ながら運転すると6か月以下の懲役または10万円以下の罰金が科されます。さらに、自転車運転中のながらスマホにより交通事故を起こすなど交通の危険を生じさせた場合は、1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金という、さらに重い罰則が科されることになりました。
ながら運転とは具体的に何を指すのでしょうか。主な例として、スマートフォンを手に持って通話する行為、スマートフォンの画面を見ながら操作する行為、携帯ゲーム機を操作しながら運転する行為などが該当します。近年はスマートフォンの普及により、自転車に乗りながら画面を見る行為が日常的に見られるようになりましたが、これは非常に危険な行為です。視線が前方から外れることで、歩行者や障害物の発見が遅れ、重大事故につながる可能性が高まります。
イヤホンで音楽を聴きながらの運転については、周囲の音が聞こえない状態での運転は別の違反である安全運転義務違反に該当する可能性があります。特に、大音量で音楽を聴いている場合や、両耳にイヤホンをしている場合は、救急車や消防車のサイレン、自動車のクラクションなどが聞こえず、重大事故につながる危険性が高まります。
2026年4月からは、ながら運転に対して青切符が交付され、反則金12000円が科されることになっています。これは青切符の反則金の中で最も高額な設定となっており、ながら運転の危険性の高さが反映されています。ただし、交通の危険を生じさせた場合など、悪質なケースでは青切符ではなく赤切符による刑事処分が適用されることになります。
飲酒して自転車を運転することは従来から禁止されていましたが、これまでは酩酊状態で運転する酒酔い運転のみが処罰の対象でした。しかし、2024年11月1日からの道路交通法改正により、酒気帯び運転についても罰則の対象となりました。
酒気帯び運転とは、血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム以上、または呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上のアルコールを身体に保有する状態で運転することを指します。これは自動車の酒気帯び運転と同じ基準であり、客観的な数値で判断されます。違反者には3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。
一方、従来から罰則があった酒酔い運転は、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態で自転車を運転する行為を指し、罰則は5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金と非常に重いものとなっています。酒気帯び運転と酒酔い運転の違いは、前者が血中アルコール濃度という客観的な基準で判断されるのに対し、後者は実際の運転能力という主観的な状態で判断される点にあります。
注目すべきは、飲酒運転をした本人だけでなく、周辺者にも罰則が科される点です。お酒を飲んだ人に自転車を貸したりすると、酒気帯び運転した違反者と同じ3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。また、自転車に乗ることが分かっているのにお酒を提供した人や、飲酒を勧めた人、さらにその自転車に同乗した人は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。
これらの規定により、飲酒運転を防止するための社会的な責任が強調されています。飲食店などでも、来店した客が自転車で来ていることが分かっている場合、過度な飲酒を勧めないなどの配慮が求められることになります。友人同士の飲み会でも、自転車で来た人には飲酒を勧めない、帰りは自転車を置いて帰るよう促すなど、周囲の配慮が重要になります。
なぜ2024年11月から罰則が強化されたのでしょうか。その背景には、自転車事故の深刻な実態があります。過去10年間の事故を分析した結果、自転車事故のうち酒気帯び状態の死亡・重傷事故率は29.5パーセントで、飲酒なし(15.9パーセント)の約1.9倍と判明しました。また、ながら運転による事故も増加傾向にあり、重大事故を防ぐために罰則強化が必要と判断されたのです。
自転車運転者講習制度の仕組みと対象
自転車の危険な運転を繰り返す者に対しては、自転車運転者講習制度という制度が設けられています。この制度について詳しく解説します。
自転車運転者講習制度は、危険な違反行為を繰り返す自転車運転者に対して、都道府県公安委員会が講習の受講を命じる制度です。この制度は2015年6月1日から施行されており、一定の危険行為を3年以内に2回以上繰り返した14歳以上の者が対象となります。年齢制限が16歳以上の青切符制度とは異なり、14歳以上が対象となっている点に注意が必要です。
講習を受講するべきことを命じられた者は、指定された期間内(3か月を超えない範囲)に講習を受講しなければなりません。受講命令に従わなかった場合は、5万円以下の罰金が科されます。つまり、違反を繰り返すだけでなく、講習を受講しないことでさらなる罰則を受けることになるのです。
自転車運転者講習は3時間の講習で、個別指導形式で行われます。講習では、交通ルールの再確認、危険行為の具体的な事例、交通事故の実態などについて学びます。また、自分の運転を振り返り、今後安全運転を行うための具体的な方法についても指導を受けます。講習の受講手数料は6150円で、この費用は受講者の自己負担となります。
2024年11月1日の法改正により、従来の15項目にながら運転と酒気帯び運転が追加され、現在は16項目の危険行為が定められています。これらの危険行為を3年以内に2回以上行うと、講習の受講命令が出される可能性があります。
16項目の危険行為には、信号無視、通行禁止違反、歩行者用道路における車両の義務違反である徐行違反、通行区分違反、路側帯通行時の歩行者の通行妨害、遮断踏切立入り、交差点安全進行義務違反、交差点優先車妨害、環状交差点安全進行義務違反、指定場所一時不停止、歩道通行時の通行方法違反、制動装置不良自転車運転、酒酔い運転、安全運転義務違反、携帯電話使用等のながら運転、そして酒気帯び運転が含まれています。
この制度の目的は、単に罰則を科すことではなく、危険な運転を繰り返す者に対して教育を行い、今後の安全運転を促すことにあります。講習を通じて、自分の運転行動を客観的に見つめ直し、交通ルールの重要性を再認識する機会となることが期待されています。実際に講習を受講した方の多くが、自分の運転の危険性を認識し、その後の運転行動を改めたという報告もあります。
その他の主要な交通違反と罰則の比較
信号無視、ながら運転、飲酒運転以外にも、自転車には様々な交通ルールがあり、それぞれに罰則が定められています。ここでは主要な違反と罰則を比較しながら解説します。
自転車は道路の左側端に寄って通行しなければなりません。道路の右側を通行する、いわゆる逆走は非常に危険な違反行為です。違反した場合は3か月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金が科されます。2026年4月からは青切符が適用され、反則金6000円となります。逆走が危険な理由は、正面から向かってくる自転車や自動車との衝突リスクが非常に高いためです。特に、カーブや見通しの悪い場所では、対向車との接触事故が発生しやすくなります。また、逆走してくる自転車は予測しにくいため、他の交通参加者にとっても危険な存在となります。
一時停止の標識がある場所では、必ず一時停止をしなければなりません。一時不停止の違反をした場合は3か月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金が科されます。2026年4月からは青切符が適用され、反則金5000円となります。一時不停止による事故は非常に多く、特に見通しの悪い交差点では重大事故につながることがあります。必ず停止線の前で完全に停止し、左右の安全確認をすることが重要です。徐行して通過するだけでは一時不停止となりますので、必ず一度完全に停止する必要があります。
自転車が2台以上並んで走行する並走は、道路交通法で禁止されています(一部の道路を除く)。違反した場合は2万円以下の罰金または科料が科されます。2026年4月からは青切符が適用され、反則金3000円となります。並走は、後方から来る自動車の通行を妨げるだけでなく、道路幅を大きく占有するため危険です。特に狭い道路での並走は、対向車との接触リスクも高まります。友人と自転車で走行する際は、必ず縦一列で走行するよう心がけましょう。
自転車の二人乗りは、原則として禁止されています(幼児用座席に6歳未満の幼児を乗せる場合などを除く)。違反した場合は2万円以下の罰金または科料が科されます。2026年4月からは青切符が適用され、反則金3000円となります。二人乗りは、自転車のバランスを崩しやすく、ブレーキの効きも悪くなるため、転倒や事故のリスクが高まります。特に下り坂や曲がり角では、制御が困難になり危険です。
夜間、自転車を運転する際は、前照灯であるライトを点灯させなければなりません。無灯火の違反をした場合は5万円以下の罰金が科されます。2026年4月からは青切符が適用され、反則金5000円となります。無灯火運転は、自分の存在を周囲に知らせることができず、また前方の視界も確保できないため、非常に危険です。特に夕暮れ時や早朝は、無灯火による事故が多発しています。最近の自転車には自動点灯機能が付いているものもありますが、機能していることを確認することが重要です。
傘を差しながら自転車を運転することは、安全運転義務違反に該当します。違反した場合は3か月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金が科される可能性があります。2026年4月からは青切符が適用され、反則金5000円となります。傘差し運転は、片手運転となるため、ハンドル操作が不安定になり、バランスを崩しやすくなります。また、傘が視界を遮ることもあり、非常に危険です。雨の日は、レインコートを着用するなど、両手でハンドルを握れる状態で運転することが重要です。
自転車は原則として車道を通行しなければなりません。ただし、自転車通行可の標識がある歩道、運転者が13歳未満の子どもや70歳以上の高齢者、身体の不自由な人である場合、車道や交通の状況からやむを得ない場合は、歩道を通行することができます。歩道を通行できる場合でも、歩道の車道寄りを徐行し、歩行者の通行を妨げてはいけません。違反した場合は2万円以下の罰金または科料が科されます。2026年4月からは青切符が適用され、反則金6000円となります。
自転車には、前輪と後輪にそれぞれブレーキを備えていなければなりません。いわゆるピスト自転車など、ブレーキのない自転車や、ブレーキが正常に作動しない自転車を運転することは禁止されています。違反した場合は5万円以下の罰金が科されます。2026年4月からは青切符が適用され、ピスト自転車での走行は反則金5000円、ブレーキ不良も反則金5000円となります。ブレーキの整備不良は、重大事故に直結する危険性があります。定期的にブレーキの点検を行い、正常に作動することを確認することが重要です。
青切符制度導入が自転車利用者に与える影響
2026年4月からの青切符制度導入は、自転車を取り巻く交通環境に大きな変化をもたらすことが予想されます。
最も直接的な影響を受けるのは、日常的に自転車を利用している人々です。これまでは、交通違反をしても警察官から口頭注意を受ける程度で済んでいたケースが多くありましたが、今後は青切符が交付され、反則金の支払いを求められるようになります。特に、通勤や通学で毎日自転車を利用している人、配達業務などで自転車を使用している事業者などは、交通ルールをより厳格に守ることが求められます。
従業員が業務中に自転車で違反をした場合、反則金は本人が負担することになりますが、企業としても安全教育の徹底が必要になるでしょう。配達業務を行う企業などでは、従業員に対する定期的な交通安全研修の実施、交通ルールの周知徹底、安全運転の指導などが重要になります。また、違反をした場合の対応についても、あらかじめ社内で方針を定めておくことが望ましいでしょう。
青切符制度の導入により、自転車の交通違反に対する取り締まりが強化され、違反行為が減少することが期待されています。特に、信号無視や逆走、ながら運転など、事故に直結しやすい危険な違反行為が減少すれば、自転車事故の減少につながるでしょう。また、反則金という経済的な負担が生じることで、違反行為に対する抑止力が高まることも期待されています。
一方で、青切符制度の導入にはいくつかの課題や懸念も指摘されています。まず、取り締まりの公平性の問題があります。警察官の目が届く場所と届かない場所で、取り締まりの濃淡が生じる可能性があります。また、どのような場合に青切符を交付し、どのような場合に指導警告にとどめるのか、その基準が明確でないと、現場での判断にばらつきが生じる恐れがあります。
次に、歩道通行に関する問題があります。日本の道路環境では、自転車が車道を通行することが危険な場所も多く、やむを得ず歩道を通行せざるを得ないケースもあります。警察は、危険が及ぶ場合を除いては歩道通行を取り締まらない方針を示していますが、その判断基準が不明確だと、利用者に混乱が生じる可能性があります。
また、自転車インフラの整備が十分でない現状での取り締まり強化には、批判の声もあります。自転車専用レーンや自転車通行帯が整備されていない道路が多い中で、車道通行を徹底すれば、かえって危険が増すのではないかという指摘もあります。今後は、取り締まりの強化だけでなく、自転車が安全に通行できる道路環境の整備も並行して進めていく必要があります。
青切符制度の導入は、日本の自転車交通政策における大きな転換点となるでしょう。自転車専用レーンの設置、交差点の改良、駐輪場の整備など、ハード面での対策と、交通安全教育の充実、啓発活動の強化など、ソフト面での対策を組み合わせることで、真に安全な自転車交通環境を実現することが求められています。
自転車利用者が必ず知っておくべき重要ポイント
青切符制度の導入を前に、自転車利用者が知っておくべき重要なポイントをまとめます。
まず、自転車に関する基本的な交通ルールを再確認しましょう。自転車は車道の左側を通行する、信号を守る、一時停止の標識では必ず止まる、夜間はライトを点灯する、飲酒運転は絶対にしない、スマートフォンを見ながら運転しない、これらは基本中の基本です。また、歩道を通行できる場合でも、歩行者優先で徐行することを忘れてはいけません。歩道は本来歩行者のための空間であり、自転車はあくまで例外的に通行を許可されているに過ぎないということを理解する必要があります。
交通違反をしないためには、時間に余裕を持って行動することが重要です。急いでいるときほど、信号無視や危険な運転をしてしまいがちです。目的地に到着するまでの時間を十分に見積もり、余裕を持って出発することで、安全な運転を心がけることができます。また、みんなやっているからという意識を捨てることも大切です。周囲の人が違反をしていても、自分は正しい行動をするという強い意志を持つことが必要です。
ブレーキの効き、タイヤの空気圧、ライトの点灯など、自転車の基本的な点検を定期的に行うことが重要です。特にブレーキは、安全運転の要となる部分ですので、少しでも異常を感じたら、すぐに自転車店で点検・修理を受けるべきです。タイヤの空気圧が低いと、ハンドル操作が重くなり、ブレーキの効きも悪くなります。月に1回程度は、自転車全体の点検を行うことをおすすめします。
配達業務などで従業員に自転車を使用させている事業者は、従業員への安全教育を徹底する必要があります。交通ルールの周知、安全運転の指導、定期的な研修の実施などが求められます。特に、新しく採用した従業員に対しては、業務開始前に必ず交通安全研修を実施し、交通ルールを理解させることが重要です。
反則金を納付しない場合の手続きについても理解しておく必要があります。青切符による反則金は、指定された期限内に納付しなければなりません。期限内に納付しない場合は、刑事手続きに進むことになり、最終的には刑事処分を受ける可能性があります。青切符は刑事処分を免除するための制度ですので、必ず期限内に納付することが重要です。
また、自転車保険への加入も検討すべきでしょう。自転車事故で他人に怪我をさせた場合、多額の損害賠償を請求されることがあります。実際に、自転車事故で数千万円の賠償命令が出たケースもあります。自転車保険に加入していれば、このような場合の経済的負担を軽減することができます。多くの自治体では、自転車保険への加入を義務化または努力義務としていますので、確認しておくことをおすすめします。
まとめ
2026年4月からの青切符制度導入、そして2024年11月からの罰則強化により、自転車の交通違反に対する取り締まりは大きく変わりました。これは、自転車利用者にとって、より一層の注意と責任が求められるようになったことを意味しています。
青切符と赤切符の違いは、刑事処分を受けるかどうかという点にあります。青切符は反則金を納付することで刑事処分を免れることができますが、赤切符は刑事手続きに進み、前科がつく可能性があります。また、信号無視は反則金6000円、ながら運転は反則金12000円というように、違反の種類によって反則金の額が異なります。
自転車は、環境に優しく、健康にも良い、便利な交通手段です。しかし同時に、使い方を誤れば、自分自身や他者を危険にさらす乗り物でもあります。交通ルールを守り、安全運転を心がけることで、自転車の持つ利点を最大限に活かし、誰もが安心して利用できる交通環境を作っていくことが、すべての自転車利用者に求められています。
青切符制度は、単に罰則を強化するためのものではなく、自転車利用者一人ひとりが交通ルールの重要性を認識し、安全運転を実践するための契機となることが期待されています。私たち自転車利用者は、この制度改正を機に、自らの運転行動を見つめ直し、より安全で責任ある自転車利用を実現していく必要があります。信号を守る、スマートフォンを見ながら運転しない、飲酒運転は絶対にしない、これらの基本的なルールを守ることから始めましょう。

  
  
  
  
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