シディ AERON(アーロン)とDOMINATOR X(ドミネーター エックス)は、イタリアの老舗サイクリングシューズブランドSIDIが2026年モデルとして発表したMTB・グラベル用シューズです。DOMINATOR Xの海外価格は369.99ドル(日本国内予想価格55,000円〜65,000円)、AERONの海外価格は399ドル(日本国内予想価格68,000円〜78,000円)となっており、発売時期は2026年春シーズン(3月〜4月頃)が見込まれています。両モデルには新型クロージャーシステム「NUUN」や新設計のラスト「Millennium Fit」など、従来のSIDI製品から大幅に刷新された技術が搭載されており、半世紀以上の伝統を持つブランドが新たな進化を遂げた注目の製品となっています。
この記事では、シディ AERON・DOMINATOR X 2026年モデルの価格やスペック、発売日に加えて、採用された新技術の詳細や競合モデルとの比較、購入時のアドバイスまで徹底的に解説していきます。MTBやグラベルロード用シューズの購入を検討している方、SIDIの最新モデルに興味をお持ちの方にとって、選択の参考となる情報をお届けします。

シディ AERON・DOMINATOR Xとは?2026年モデルの特徴と位置づけ
シディ AERON・DOMINATOR Xは、SIDIが2026年モデルとして発表したMTBおよびグラベルロード用シューズの最新ラインナップです。SIDIは1960年にイタリアのモンテベルーナでディノ・シニョーリによって設立されたブランドで、半世紀以上にわたりサイクリングシューズの革新を牽引してきました。
今回の2026年モデル発表に合わせて、SIDIは大規模なリブランディングを実施し、新たなブランドスローガン「Made to Progress(大いなる進化)」を掲げています。これは過去の栄光に安住することなく、未来へ向かって進化し続けるという決意表明であり、AERON・DOMINATOR Xはその象徴的な製品となっています。
DOMINATOR Xは、SIDIのMTBシューズで最も長い歴史を持つDominatorシリーズの正統後継モデルです。従来のDominatorシリーズがミドルグレードのXCシューズという位置づけだったのに対し、DOMINATOR Xはグラベルロード、バイクパッキング、トレイルライドまでをカバーする「究極のオールラウンダー」として再定義されました。剛性と歩行性のバランス、そして一日中履き続けられる快適性が開発の主眼に置かれています。
AERONは、DOMINATOR Xの上位に位置するピュアレーシングモデルです。モデル名はAero(空気)や軽快さを連想させ、その名の通り極限までの軽量化と効率化が図られています。従来のトップモデルであるTigerやDrakoの系譜に連なるハイエンドモデルですが、より現代的なアプローチで設計されており、軽さとフィット感の「シームレスな統合」がテーマとなっています。
両モデルに共通する大きな変化として、デザイン哲学の刷新が挙げられます。かつてSIDIの象徴であった光沢のある人工皮革「ロリカ」や原色を多用した派手なグラフィックは影を潜め、マットな質感、エンジニアードメッシュのようなテクニカルなテクスチャ、そしてアースカラーを中心とした洗練された色彩設計が採用されています。これは近年のグラベルカルチャーの台頭により、レース機材としての性能だけでなく、ウェアや自然環境との調和を重視する層が増加したことへの対応です。
シディ AERON・DOMINATOR X 2026年モデルの価格
シディ AERON・DOMINATOR X 2026年モデルの価格について、海外価格と日本国内での予想価格を詳しく解説します。
DOMINATOR Xの価格
DOMINATOR Xの海外価格は369.99ドル(USD)、イギリスでは259ポンド(RRP)と発表されています。日本国内での正式価格は代理店からの公式発表を待つ必要がありますが、現在の為替レート(1ドル=150円前後)や輸入コストを考慮すると、約55,000円から65,000円のレンジになると予測されます。
DOMINATOR Xはミドルグレードの位置づけでありながら、上位モデルと同じデュアルダイヤルシステムを採用している点が特徴です。この価格帯でデュアルNUUNダイヤルが搭載されていることは、コストパフォーマンスの面で大きな魅力となっています。
AERONの価格
AERONの海外価格は399ユーロ、アメリカでは399ドル(USD)(推定)と発表されています。ハイエンドモデルとしてのプレミアム性を考慮すると、日本国内での価格は68,000円から78,000円前後の価格設定が予想されます。
AERONはXCワールドカップや高速グラベルレースで勝利するために開発されたピュアレーシングモデルであり、フルカーボンソールや軽量リップストップアッパーなど、最高峰の素材と技術が惜しみなく投入されています。サイズ42で片足約310gという軽量性は、耐久性を重視するSIDIのMTBシューズとしては異例の数値です。
価格に見合う価値とは
SIDIの価格は決して安くはありませんが、その価格には半世紀分の歴史と技術、そして「長く使える製品づくり」という思想が込められています。SIDIの大きな特徴として、ダイヤルやヒールパーツなど多くのスモールパーツが交換可能な設計になっている点があります。初期投資は競合製品より高額になる傾向がありますが、数年単位の使用を考えると、修理しながら長く使えるSIDIのコストパフォーマンスは逆転する可能性があります。
シディ AERON・DOMINATOR X 2026年モデルの発売日と入手方法
シディ AERON・DOMINATOR X 2026年モデルの発売時期と、日本国内での入手方法について解説します。
発売時期
AERON・DOMINATOR Xともに2026年モデルとして、2025年12月中旬頃から情報が解禁され、2026年春シーズン(3月〜4月頃)に向けて店頭デリバリーが開始される見込みです。これは例年のSIDI新モデル展開パターンと同様の流れとなっています。
日本国内での正式な発売日は、代理店である深谷産業等からの公式アナウンスを待つ必要があります。海外では既に一部のオンラインショップで予約受付が開始されているケースもありますが、日本国内での正規販売は2026年春以降となる見通しです。
入手方法と購入時の注意点
日本国内でSIDI製品を購入する場合、専門店での取り扱いが主となります。SIDIはShimano製品のような圧倒的な流通量を持たないため、試着できる店舗が限られている点に注意が必要です。
特にAERONのようなハイエンドモデルや、人気のサイズ(41〜43)、新色の「サンド」や「ディープフォレスト」は初回入荷分が早期に完売する可能性があります。購入を検討している方は、プロショップでの早期予約を強く推奨します。
また、2026年モデルで導入された「Millennium Fit」により、サイズ感が従来のSIDI製品と異なる可能性があります。これまでSIDIを履いていた方であっても、購入前の試着は必須と言えるでしょう。
シディ DOMINATOR X 2026年モデルのスペック詳細
DOMINATOR Xは、グラベルロードからトレイルライドまで幅広い用途に対応する「究極のオールラウンダー」として開発されました。その詳細なスペックを解説します。
アッパー:WYVEエンジニアードファブリック
DOMINATOR Xには「WYVE(ワイブ)」テクノロジーが採用されています。これは通気性に優れたメッシュ素材とTPU(熱可塑性ポリウレタン)の補強材を一体的に成形・配置する技術です。従来の「生地を裁断して縫い合わせる」製法とは異なり、余分な縫い目や接着剤、補強レイヤーを排除できる点が最大の利点です。
この構造により、シューズ全体の軽量化はもちろんのこと、縫い目による足へのアタリ(圧力点)を無くし、「第二の皮膚」と形容されるような至高のフィット感を実現しています。つま先やかかと、側面など岩や根と接触しやすい箇所には重点的に補強がなされており、軽量でありながらハードなトレイル使用にも耐える構造となっています。
ソール:X3CC カーボンコンポジットソール
DOMINATOR Xの心臓部とも言えるのが「X3CC カーボンコンポジットソール」です。SIDIの剛性スケール(最大12)において剛性指数8という数値は、競技レベルのパワー伝達効率を持ちながら適度なしなり(フレックス)を残していることを意味します。
フルカーボンソール(剛性指数10以上)のような硬すぎるソールは、長距離ライドや歩行時に足への負担となりますが、剛性指数8のX3CCソールはそのバランスが絶妙です。ソール全面に配置されたラバーブロックは、泥抜けの良さとグリップ力を考慮して設計されており、急勾配の押し上げや滑りやすい路面での歩行でも確実なトラクションを提供します。
クロージャー:Dual NUUN 001C
DOMINATOR Xには、上位モデルと同じデュアルダイヤルシステム「NUUN 001C」が採用されています。足首側とつま先側の2つのゾーンを独立して締め付けることができるため、登りではタイトに、平坦では少し緩めるといった走行中の微調整が可能です。
また、SIDI独自の「Soft Instep Closure System」と連動することで、甲の高いライダーでも圧迫感のないフィット感を得られます。NUUNダイヤルはアルミニウム製で、泥や砂が噛み込みやすいオフロード環境においても優れた耐久性と操作感を発揮します。
フィット:Millennium Fit
従来のSIDI製品に対して「幅が狭い」という評価がありましたが、2026年モデルで導入された「Millennium Fit」はこの課題への回答です。つま先部分(トウボックス)のボリュームがアップし、指先を自然に広げることができるスペースが確保されています。長時間のペダリングでも足指のしびれや血流障害を防ぎ、後半まで高いパフォーマンスを維持することが可能になりました。
シディ AERON 2026年モデルのスペック詳細
AERONは、XCワールドカップや高速グラベルレースで勝利するために開発されたピュアレーシングモデルです。極限までの軽量化と効率化が図られた最高峰のスペックを詳しく見ていきます。
アッパー:Ripstopファブリック+Firmor Xサポート
AERONには、パラシュートやアウトドアギアにも使用される「リップストップ」構造を持つファブリックが採用されています。格子状にナイロン繊維を織り込むことで、万が一生地に傷が入っても裂け目が広がることを物理的に食い止めます。XCレースのような過酷な環境では枝や岩によるアッパーの損傷が頻繁に起こり得ますが、リップストップ素材はそのリスクを最小限に抑えつつ、極限まで生地を薄く軽量に保つことを可能にしました。
AERON最大の特徴は、アッパー内部に配置された「Firmor X(ファーマーエックス)」テクノロジーです。これは軽量なリップストップ生地の内側に配置されたサポート構造で、足の横方向へのブレを抑制します。ペダリング時、特にスプリントや急な登坂で足がシューズの中で動いてしまうとパワーロスに繋がりますが、Firmor Xは足を包み込むようにホールドし、ソールと足の一体化を実現しています。
ソール:X2FC フルカーボンソール
AERONには剛性指数11を誇るX2FCフルカーボンソールが搭載されています。これはプロフェッショナルレベルの剛性であり、踏み込んだ力が一切の損失なく推進力へと変換される感覚は、まさにレーシングスペックです。
DOMINATOR Xとは異なり、AERONのラバーラグは必要最小限の配置となっています。これはシューズ全体の重量を削減するためであり、歩行よりもペダリング効率を最優先した結果です。ただし、つま先部分には交換可能なトレッドやスパイクピン用のホールが設けられており、泥のコンディションにも対応可能な設計となっています。
重量:サイズ42で片足約310g
AERONはサイズ42で片足約310gという軽量性を実現しています。耐久性を重視するSIDIのMTBシューズとしては異例の数値であり、長時間のレースにおいて足元の軽さは疲労軽減に直結する重要な要素となります。
ヒールリテンションシステム
AERONには、SIDIの上位モデルの証である「調整可能ヒールリテンションデバイス」が搭載されています。かかと部分にあるネジを回すことで、ヒールカップの締め付け具合を物理的に調整できます。これにより、個人の足の形に合わせてかかとを完全にロックし、引き足を使う際のカカト抜けを物理的に防ぐことが可能です。
シディ 2026年モデルを支える新技術の詳細
AERON・DOMINATOR Xには、従来のモデルとは一線を画す革新的な技術が導入されています。ここでは両モデルに共通する中核テクノロジーについて詳しく解説します。
新型クロージャーシステム「NUUN」
長年SIDIの代名詞であった「Tecno-3」システムに代わり、2026年モデルでは新たに開発された「NUUN(ヌーン)」ダイヤルシステムが採用されました。これは単なる部品の変更ではなく、操作性、耐久性、空力特性のすべてを見直したフルモデルチェンジです。
NUUN 001Cダイヤルの最大の特徴は、アルミニウム製筐体の採用です。従来のTecno-3システムや多くの競合製品のダイヤルが樹脂製であるのに対し、金属製であることで操作時の「カチッ」とした剛性感とフィードバックの明確さが得られます。泥や砂が噛み込みやすいオフロード環境において、樹脂パーツは摩耗や変形のリスクがありますが、アルミニウム製のNUUNはその堅牢性において圧倒的な信頼感を提供します。
NUUNダイヤルは極めて低プロファイル(薄型)に設計されており、シューズのアッパー表面からの突出を最小限に抑えています。これにより空気抵抗を削減する効果が期待でき、障害物への接触による破損リスクも低減されています。MTBやグラベルロードにおいても高速化が進む現代のレースシーンでは、わずかなエアロダイナミクスの差が勝敗を分ける要因となり得ます。
SIDIの伝統である「フルサービスアビリティ(修理可能性)」はNUUNでも継承されており、ダイヤル単体での交換が可能です。これは高価なシューズを長く使い続けたいユーザーにとって、SIDIを選ぶ決定的な理由の一つとなります。
次世代アッパーマテリアル「WYVE」
DOMINATOR Xに採用されている「WYVE(ワイブ)」テクノロジーは、通気性とサポート性を両立させるためのエンジニアードファブリックです。メッシュ素材とTPUの補強材を一体的に成形・配置する技術により、余分な縫い目や接着剤を排除できる構造を実現しました。
この構造の利点は軽量化だけにとどまりません。縫い目による足へのアタリを無くすことで、長時間のライドでも快適性を維持できます。オフロード走行に不可欠なプロテクション(バンパー)もこの構造の中にシームレスに統合されており、見た目のスマートさと実用的な耐久性を両立しています。
新設計ラスト「Millennium Fit」
SIDIのシューズに対する長年の市場の評価には「高品質だが幅が狭い」という声が常にありました。特にアジア人や幅広の足を持つライダーにとって、SIDIのナローなラストは憧れでありながらも手が出しにくい要因でした。2026年モデルで導入された「Millennium Fit」は、この課題に対するSIDIの回答です。
Millennium Fitは、従来の「レギュラーフィット」と幅広の「メガフィット」の中間という単純なものではなく、現代のライダーの足の形状や生体力学に基づいてゼロから再設計された新しいスタンダードです。最大の特徴はつま先部分(トウボックス)のボリュームアップで、指先を自然に広げることができるスペースが確保されています。
従来のレーシングシューズはつま先を拘束することでパワー伝達を高めるという思想がありましたが、Millennium Fitでは長時間のペダリングでも足指のしびれや血流障害を防ぎ、結果として後半まで高いパフォーマンスを維持することが可能になります。SIDIはこれを「レクリエーション用ではなく、あくまでパフォーマンスのためのフィット」と定義しており、快適性が速さに繋がるという現代的な解釈を取り入れています。
シディ AERON・DOMINATOR X、どちらを選ぶべきか
同じ2026年モデルとして登場する両モデルですが、そのキャラクターは明確に異なります。ライディングスタイルに合わせて最適な一足を選ぶための比較ポイントを解説します。
ペダリング効率と快適性のバランス
AERONの剛性指数11は爆発的な加速力を生み出しますが、反面、路面からの振動もダイレクトに伝わります。数時間のレースであれば強力な武器になりますが、一日中走るロングライドでは足裏への疲労蓄積が懸念されます。対してDOMINATOR Xの剛性指数8は、十分な推進力を持ちながらも適度な振動吸収性があり、長時間の使用でも快適です。
XCレースやグラベルレースで順位を競う方にはAERONが、ロングライドやアドベンチャーライドを楽しむ方にはDOMINATOR Xが適しています。
歩行性能の決定的な違い
ライディングに「バイクを降りて歩く」「担ぐ」「カフェに立ち寄る」といった要素が含まれているなら、DOMINATOR Xが間違いのない選択です。ソール全面のラバーグリップは濡れた岩場やコンクリートの上でも滑りにくく、歩行時のストレスを大幅に軽減します。
AERONのソールは硬くラバーも最小限であるため、歩行は「あくまで緊急用」と割り切る必要があります。バイクパッキングやグラベルツーリングなど、歩く機会が多いライドスタイルにはDOMINATOR Xが圧倒的に有利です。
フィット感の質の違い
AERONはFirmor Xとヒール調整システムにより、足を「固定」する感覚が強いです。ペダリング効率を最大化するための設計であり、足とシューズの一体感を重視するレーサー向けのフィット感となっています。対してDOMINATOR XのWYVEアッパーは、足を「包み込む」感覚が強く、リラックスしたフィット感を提供します。
長時間のライドでは包み込むようなフィット感の方が疲労が少なく、短時間の高強度レースでは固定感のあるフィット感がパフォーマンスに直結します。自分のライディングスタイルと照らし合わせて選択することが重要です。
シディ AERON・DOMINATOR Xと競合モデルの比較
SIDIの2026年モデルは、市場の強力なライバルたちとどのように渡り合うのでしょうか。主要な競合であるShimanoとSpecializedの同等グレードモデルと比較します。
Shimano XC7シリーズとの比較
ShimanoのXC7シリーズ(XC703)は、DOMINATOR Xの最大のライバルです。Shimanoは「サラウンドラップアッパー」により、タンを廃した包み込む構造を採用しています。これに対しSIDI DOMINATOR Xは「Millennium Fit」でつま先の快適性を向上させつつ、中央のタン構造を維持しています。甲高のライダーにとっては、タンの位置で調整が効くSIDIの方が圧迫感を逃がしやすい場合があります。
耐久性とメンテナンスの面ではSIDIの優位性が際立ちます。Shimanoのシューズはアウトソールのラバーが摩耗した場合、交換が不可能な使い捨て設計が基本ですが、SIDIは多くのスモールパーツが交換可能です。初期投資はSIDIの方が高額になる傾向がありますが、数年単位の使用を考えるとコストパフォーマンスは逆転する可能性があります。
入手性についてはShimanoが圧倒的に有利です。日本国内においてShimano製品は圧倒的な流通量を誇り試着も容易ですが、SIDIは専門店での取り扱いが主となるため試着のハードルがやや高い点がネックとなります。
Specialized Recon 3.0との比較
SpecializedのRecon 3.0は、歩行性能とペダリング性能のハイブリッドを売りにした人気モデルです。Specializedは「STRIDE toe-flex」という技術でカーボンソールでありながらつま先部分だけがしなる構造を採用し、劇的な歩きやすさを実現しています。
SIDI DOMINATOR Xも歩きやすさを謳っていますが、ソールの構造的なしなりに関してはRecon 3.0に分がある可能性があります。ただしSIDIの強みはラバーそのもののグリップ力と耐久性にあり、滑りやすい路面での安心感という点ではSIDIが優れています。
クロージャーシステムについては、Recon 3.0がBOA Li2ダイヤルを採用しているのに対し、SIDIはNUUNダイヤルを採用しています。BOAは逆回転での微調整が可能で非常に便利ですが、SIDIのNUUNダイヤルも独自の操作感と堅牢性で対抗しています。特にアルミニウム製であることの所有満足度と安心感はNUUNの大きな魅力です。
シディ AERON・DOMINATOR X購入時のアドバイス
2026年モデルの購入を検討している方に向けて、具体的なアドバイスをお伝えします。
サイズ選びの重要性
2026年モデルで導入された「Millennium Fit」により、従来のSIDI製品とサイズ感が異なる可能性があります。これまでSIDIを履いていた方であっても、必ず試着してからの購入をお勧めします。特につま先部分のボリュームがアップしているため、従来のSIDIで窮屈さを感じていた方は、むしろ快適なフィット感を得られる可能性があります。
逆に、従来のタイトなフィット感を好んでいた方は、若干ルーズに感じる場合があるかもしれません。いずれにしても、実際に試着して自分の足との相性を確認することが最も確実です。
早期予約の推奨
AERONのようなハイエンドモデルや、人気のサイズ(41〜43)、新色の「サンド」や「ディープフォレスト」は初回入荷分が早期に完売する可能性が高いです。購入を決めている方は、プロショップでの早期予約を強く推奨します。
長期的な視点での投資
SIDIの価格は競合製品と比較して高めですが、その価格には「長く使える」という価値が含まれています。ダイヤルやヒールパーツなどが交換可能な設計になっているため、適切にメンテナンスすれば何年も使い続けることができます。安価なシューズを毎年買い替えるのではなく、良いものを修理しながら長く使うという選択は、結果的にコストパフォーマンスが高くなる可能性があります。
また、SIDIは国連グローバル・コンパクトの10原則を支持し、SDGsへの貢献を明言しています。「長く使える製品を作る」という設計思想そのものが環境負荷低減への貢献となっており、サステナビリティを重視する現代の消費者の価値観とも合致しています。
シディの歴史と革新の系譜
シディ AERON・DOMINATOR X 2026年モデルを深く理解するためには、SIDIが歩んできた歴史と革新のDNAを知ることが重要です。
創業からサイクリングシューズへの進出
SIDIは1960年、イタリアのモンテベルーナでディノ・シニョーリによって設立されました。当初は登山靴やハイキングブーツを製造する小さな工房でしたが、モンテベルーナという世界的なスポーツフットウェアの聖地での厳しい競争と職人技の研鑽が、SIDIの品質の基礎を築きました。
1970年代に入ると、SIDIはサイクリングシューズとモーターサイクルブーツの分野へ本格的に進出します。1973年に発表された「Sidi Titanium」では、それまで靴底に釘で固定されていたクリートに対し、調整可能なスクリュー固定式を導入しました。これによりライダーは自身の体格やペダリングの癖に合わせてクリート位置を微調整することが可能になり、現代では当たり前のフィッティング概念を確立しました。
業界をリードする革新の連続
SIDIは常に業界のスタンダードを覆す「最初の」ブランドでした。1983年にはベルクロ(マジックテープ)式クロージャーを採用した「Revolution」を、1989年にはラチェット式バックルを採用した「Genius」を発表しました。これらは走行中の微調整を可能にし、レース中のパフォーマンス維持に革命をもたらしました。
このようにSIDIの歴史は「固定概念への挑戦」の歴史そのものであり、2026年モデルにおけるNUUNダイヤルやMillennium Fitの導入もまた、この系譜の延長線上にある必然的な進化と言えます。
「Made to Progress」に込められた決意
創業から60年以上を経て、SIDIは2026年モデルの発表に合わせて新たなブランドスローガン「Made to Progress(大いなる進化)」を掲げました。刷新されたロゴデザインは、SIDIが内包する「二つの魂」を視覚化しています。モトクロスやMTBといったオフロードの泥臭くダイナミックな世界観を象徴する有機的なラインと、ロードレースの極限まで研ぎ澄まされたスピードとテクノロジーを象徴するミニマルで直線的なライン、これらが融合することでSIDIの新しいアイデンティティが形成されています。
「幅が狭い」「重い」「古臭い」といったかつてSIDIに対して抱かれていたかもしれないネガティブなイメージは、WYVE素材、Millennium Fit、NUUNダイヤルといった革新技術によって完全に過去のものとなりました。しかし、職人の手による品質へのこだわり、すべてのパーツを交換可能にするという誠実さといった「SIDIらしさ」は、何一つ失われていません。2026年、シディ AERON・DOMINATOR Xは、あなたのサイクリングライフを次のステージへと押し上げる選択肢となるでしょう。


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