ヒルクライムの脚つり予防に効果的なミネラル補給のタイミングを徹底解説

ヒルクライム

ヒルクライムで脚がつる原因は、主に電解質(ミネラル)の不足と脱水、そして筋肉疲労の3つが複合的に関係しています。脚つりを予防するためには、ライド当日だけでなく日常的にマグネシウムなどのミネラルを摂取しておくことが重要であり、ライド中は30分おきにこまめな水分と電解質の補給を行うことが効果的です。特に登坂前の補給タイミングを意識することで、ヒルクライム中の脚つりリスクを大幅に軽減できます。

ヒルクライムを楽しむサイクリストにとって、脚がつること、いわゆる「こむら返り」は非常に悩ましい問題です。せっかくのライドが台無しになるだけでなく、激しい痛みによって走行を続けられなくなることもあります。この記事では、ヒルクライム時に脚がつる原因を科学的な観点から解説し、予防のためのミネラル補給方法とその最適なタイミングについて詳しくお伝えします。日常的な食事やサプリメントの活用法から、ライド当日の具体的な補給計画、さらには走り方の工夫まで、総合的な脚つり対策を身につけることができます。

  1. ヒルクライムで脚がつるメカニズムと原因
    1. 脚がつるとはどのような現象か
    2. 脚つりの主な原因となる5つの要因
  2. 脚つり予防に重要なミネラルの役割
    1. 筋肉の収縮に関わる4つの主要ミネラル
    2. 汗で失われるミネラル量の実態
    3. ミネラル不足を知らせる体のサイン
  3. ミネラル補給の最適なタイミング
    1. 日常的なミネラル摂取がなぜ重要か
    2. イベント前日からの準備が成功の鍵
    3. ライド当日の補給タイミングを詳しく解説
  4. おすすめのミネラル補給方法
    1. 飲料による効率的な補給
    2. サプリメントによる補給
    3. 食事からのミネラル摂取
  5. ストレッチとトレーニングによる脚つり予防
    1. 運動前後のストレッチの重要性
    2. 筋力トレーニングで脚つりに強い体を作る
  6. ヒルクライム時の走り方と負荷管理
    1. 適切なケイデンスの維持が脚つり予防の鍵
    2. ダンシングとシッティングの使い分け
    3. ポジションの確認で脚つりリスクを軽減
  7. 漢方薬による脚つり対策
    1. 芍薬甘草湯の特徴と使い方
    2. 芍薬甘草湯の作用メカニズム
    3. 使用方法と注意点
  8. 夏場のヒルクライムと熱中症対策
    1. サイクリストと熱中症のリスク
    2. 夏場の水分補給の頻度と量
    3. 暑さ対策のウェアと装備
    4. 暑熱順化で体を暑さに慣らす
    5. 熱中症の初期症状と応急処置
  9. BCAAとアミノ酸による筋肉疲労軽減
    1. BCAAとは何か
    2. BCAAの3つの役割
    3. BCAAの摂取タイミング
    4. BCAAと脚つりの関係
  10. 脚つり予防のための総合的アプローチ
    1. 日常生活での心がけ
    2. イベント・ライド前日の準備
    3. ライド当日の補給計画
    4. ライド中の走り方のポイント
    5. いざという時の対策
  11. 推奨される補給量の目安

ヒルクライムで脚がつるメカニズムと原因

脚がつるとはどのような現象か

脚がつるという現象は、医学的には「有痛性筋攣縮(ゆうつうせいきんれんしゅく)」と呼ばれています。これは筋肉が突然、自分の意思とは関係なく強く収縮し、硬直した状態になることを指します。この状態は数秒から数分間続き、強い痛みを伴うのが特徴です。

特にふくらはぎの筋肉である腓腹筋がつることが多く、これを「こむら返り」と呼びます。しかし、サイクリストの場合は大腿四頭筋(太ももの前側)やハムストリングス(太ももの裏側)がつることも珍しくありません。ヒルクライムでは平地走行よりも大きな負荷が脚にかかるため、これらの筋肉群がつりやすくなります。

脚つりの主な原因となる5つの要因

脚がつる原因は複合的ですが、主に5つの要因が挙げられます。

電解質(ミネラル)の不足は、脚つりの最も大きな原因の一つです。筋肉の収縮と弛緩には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムといった電解質が重要な役割を果たしています。激しい運動で大量の汗をかくと、これらの電解質が体外に排出され、バランスが崩れてしまいます。特にマグネシウムは筋肉の弛緩に関わっており、不足すると筋肉が緊張したままになりやすく、つりやすくなります。

脱水も重要な原因です。汗をかくことで体内の水分が失われると、血液の循環が悪くなり、筋肉への酸素や栄養素の供給が滞ります。また、体液の濃度バランスが崩れることで、神経から筋肉への信号伝達に異常が生じやすくなります。

筋肉疲労は見落としがちな原因です。長時間の運動や、普段使わない筋肉を酷使すると、筋肉が疲労して正常な収縮・弛緩のサイクルが乱れます。ヒルクライムでは平地走行よりも大きな負荷が筋肉にかかるため、疲労が蓄積しやすくなります。

不適切なポジションやペダリングも脚つりを引き起こします。サドルが高すぎると、ペダルが下死点の位置になったときにふくらはぎが伸び切った状態になり、通常よりも大きな負荷がかかって痙攣につながりやすくなります。また、低すぎるケイデンス(ペダル回転数)で重いギアを踏み続けると、筋肉への負担が増大します。

睡眠不足やストレスも脚つりに影響します。睡眠不足の状態では、筋肉の回復が不十分になり、つりやすくなることが経験的に知られています。精神的なストレスもミネラルバランスに影響を与えることがあります。

脚つり予防に重要なミネラルの役割

筋肉の収縮に関わる4つの主要ミネラル

脚つり予防において最も重要なのがミネラルの適切な摂取です。筋肉の収縮と弛緩に関わる主要なミネラルは4種類あります。

マグネシウムは体内で300種類以上の酵素反応に関わる重要なミネラルです。特に筋肉においては、収縮した筋肉を弛緩させる働きがあります。カリウムやカルシウムなどの他のミネラルをコントロールしているのもマグネシウムであり、不足すると筋肉が過度に緊張し、つりやすくなります。日本人の食事摂取基準(2025年版)では、1日のマグネシウム推奨量を成人男性で340〜380mg、成人女性で280〜290mgと設定しています。

カルシウムは骨の形成だけでなく、筋肉の収縮にも不可欠なミネラルです。神経からの信号を受けて筋肉が収縮する際、カルシウムイオンが重要な役割を果たします。

カリウムは細胞内の水分バランスを調整し、神経伝達や筋収縮に関わります。ナトリウムとともに体内の浸透圧を維持する役割があり、不足すると筋肉の機能が低下します。

ナトリウムは汗で最も多く失われる電解質です。体液量の調節や神経伝達に関わり、不足すると筋肉のけいれんや疲労感を引き起こします。

汗で失われるミネラル量の実態

運動中に汗をかくと、どの程度のミネラルが失われるのでしょうか。汗1リットルあたりに含まれるミネラル量は、ナトリウムが約860mg、カリウムが約220mg、カルシウムが約160mg、マグネシウムが約1.3mgとされています。

体重70キロの人が1時間で1リットルの汗をかいた場合、ナトリウムだけで約1150mgが失われます。3時間の長距離ライドで3リットルの汗をかけば、失われるナトリウムは3450mgにもなります。激しい運動中は1時間あたり約1.5リットルの汗を失うこともあり、その場合は1時間で1700mgものナトリウムが失われる計算になります。

ミネラル不足を知らせる体のサイン

ミネラル不足になると、体はさまざまなサインを発します。足がつる、こむら返りが起きるという症状は最も分かりやすいサインです。筋肉がピクピクする、力が出ない、疲れやすいといった症状もミネラル不足を示唆しています。さらに、集中力がなくなる、ボーッとする、頭痛がする、喉が渇くといった症状が現れたら、ミネラル不足のサインかもしれません。

ミネラル補給の最適なタイミング

日常的なミネラル摂取がなぜ重要か

脚つりを予防するためには、ライド当日だけでなく、日常的にミネラルを十分に摂取しておくことが極めて重要です。サプリメントには即効性がないため、足りない栄養素を日頃から摂取することで身体の状態を整えておく必要があります。

ある体験談によると、マグネシウムサプリメントを毎晩1錠ずつ飲み続けて2週間が経過したある日、走行距離88km、獲得標高1600mを走っても脚つりは起きなかったそうです。さらに3週間後には走行距離156km、獲得標高2100mでも脚つりが起きなかったという報告があります。この体験談は、日常的なミネラル摂取の重要性を示しています。

イベント前日からの準備が成功の鍵

ヒルクライムイベントやロングライドの前日から、意識的に水分とミネラルを摂取しておくことが重要です。多くの参加者は日常生活と同じくらいの水分量しか摂取していませんが、それでは全然足りません。前日から十分に水分を摂り、体内に水分を蓄えておきましょう。

水を飲んでトイレに行きたくなるようであれば、体内に水分がたっぷりある状態と考えられます。体重を目安にするのも良く、普段の体重から1kg以上減っていれば脱水状態になっている可能性があります。

ライド当日の補給タイミングを詳しく解説

「補給は走っているときだけ」という認識を変え、「出発前から回復までがワンセット」だという理解が大切です。

スタート前の補給として、スタート30分〜1時間前に200〜500ml程度の水分と電解質を摂取します。エネルギージェルを1本摂取するサイクリストも多くいます。ジェルは効果が出るまで15〜30分かかるため、早めの摂取が基本です。

ライド中の補給では、1時間を超えるライドの場合、必ず補給を行いましょう。基本的には30分おきに補給することが推奨されています。喉が渇いたと感じてから飲むのでは遅く、渇きを感じた時点ですでに脱水が始まっています。夏場であれば1時間に1ボトル(約500〜750ml)程度の水分補給が目安です。一度に大量に飲むより、少量をこまめに摂る方が吸収効率が良くなります。

登坂前の補給は特に重要です。定期補給だけでなく、ヒルクライムの登り始める前など「ここぞ」という場面で補給しておくことが効果的です。登坂中は呼吸が激しくなり、補給しにくくなるためです。

ライド後の補給も忘れてはいけません。ライド後も水分とミネラルの補給を続けます。特に夏場のライドでは、1日2リットルに加えてさらに1リットル以上の水分摂取が必要です。

おすすめのミネラル補給方法

飲料による効率的な補給

電解質ドリンク・スポーツドリンクは最も手軽な補給方法です。ドリンクボトルにはハイポトニック飲料を入れておくとよいでしょう。ハイポトニック飲料は浸透圧が体液より低く設定されており、体内への吸収が速いため、熱中症対策としても効果的です。また、糖が穏やかに摂取されるので血糖値の安定にも役立ちます。メイタンの電解質パウダーは、プロ選手からも支持されている製品です。脱水状態で動けなくなっている人でも、これを飲むとびっくりするほど回復するという声もあります。

電解質タブレットも人気のある選択肢です。SiS Go Hydroなどの電解質タブレットは、水に溶かして使用するタイプの製品です。1粒のタブレットを500mlの水に入れると発泡して溶け、電解質ドリンクになります。タブレットタイプは糖分がカットされているためベタつき感がなく、ぬるくなっても気にせず飲める点がメリットです。また、ボトルを清潔に保ちやすく、持ち運びにも便利です。High5 ZEROやTOP SPEED ウルトラミネラルタブレットなども人気のある製品です。

塩タブレットには糖分、塩分、クエン酸と、発汗時に必要なものが揃っています。水と一緒に補給することで、発汗時に失われたものを素早くチャージできます。ボトルを飲み干しても、塩タブレットを持っていれば自販機で購入した飲み物と組み合わせて補給できる利点もあります。

サプリメントによる補給

Mag-on(マグオン)は、足つり対策としてマグネシウムを配合したサプリメントブランドです。エナジージェルタイプ、タブレットタイプ、ボディローション(塗るタイプ)など、様々な形態の製品があります。エナジージェルタイプは、エネルギー補給とマグネシウム補給を同時に行えるのが特徴です。ボディローション(塗るマグネシウム)は、経皮吸収で筋肉に直接届くため、胃腸への負担がないのがメリットです。

メイタン・ツゥラン(2RUN)は小林製薬から発売されている製品で、カルシウム、マグネシウム、鉄を配合しています。筋肉の収縮・弛緩に関連するミネラルに着目して開発されました。

WINZONEエナジージェルは、1袋でバナナ約1.5本分のエネルギーと機能性成分、マグネシウムを配合したエナジージェルです。疲労感が出る前に摂ることがポイントとされています。

食事からのミネラル摂取

日常的な食事からもミネラルを意識的に摂取することが重要です。

マグネシウムが豊富な食品としては、アーモンド(10gあたり約29mg)、バナナ(100gあたり約32mg)、かぼちゃの種(100gあたり530mg)があります。納豆や豆腐などの大豆製品、ほうれん草や切り干し大根などの野菜、あおさやひじき、わかめなどの海藻類、素干しや煮干しなどの魚介類もマグネシウムの良い供給源です。

カリウムが豊富な食品としては、バナナ、オレンジ、ジャガイモ、アボカド、ほうれん草があります。

カルシウムが豊富な食品としては、牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品、小魚、豆腐、小松菜があります。

バナナはカリウムとマグネシウムの両方を含み、消化しやすいため、ライド前後の補給食としても適しています。

ストレッチとトレーニングによる脚つり予防

運動前後のストレッチの重要性

脚つりを予防するためには、ミネラル補給だけでなく、適切なストレッチも重要です。

運動前のストレッチとして、ライド前にウォーミングアップとストレッチを行い、筋肉を温めておきます。スタート地点からいきなりトップスピードで走らず、数キロは流して走って体を温めることも大切です。

ふくらはぎのストレッチ方法は、壁に手をついて、片足を後ろに伸ばします。後ろ足のかかとを床につけたまま、前足の膝を曲げてふくらはぎの筋肉を伸ばします。15〜30秒間その姿勢をキープし、反対側も同様に行います。

休憩時のストレッチとして、ストレッチに加えてふくらはぎを揉むなどのマッサージも効果的です。

筋力トレーニングで脚つりに強い体を作る

カーフレイズはふくらはぎの筋肉を鍛える最も基本的なエクササイズです。立った状態で足を肩幅に開き、ゆっくりとつま先立ちになり、ふくらはぎの筋肉を収縮させます。これを10〜15回、3セット行います。

有酸素運動による閾値向上も効果的です。ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳などの有酸素運動を継続することで、無酸素性作業閾値(AT)を上げることができ、筋疲労を生じにくくなります。週に数回程度行うのが望ましいでしょう。

ヒルクライム時の走り方と負荷管理

適切なケイデンスの維持が脚つり予防の鍵

ヒルクライムでは、低いケイデンス(ペダル回転数)で重いギアを踏み続けると、筋肉への負担が大きくなり、脚つりのリスクが高まります。

勾配に応じた推奨ケイデンスの目安を表にまとめると、以下のようになります。

勾配推奨ケイデンス
斜度2%1分間に85回転前後
斜度4%1分間に80回転前後
斜度6%1分間に70回転前後
斜度8%1分間に60回転前後

同じ出力の場合、ケイデンスが上がればトルク(ペダルを踏む力)が少なくて済み、筋肉の負担が軽減されます。緩斜面ではなるべくケイデンスを上げて筋肉を温存しましょう。

ダンシングとシッティングの使い分け

ヒルクライムでは、適度にダンシング(立ちこぎ)を取り入れることで、使う筋肉を変えて体の負担を分散させることができます。同じ筋肉ばかり使い続けると疲労が蓄積しやすくなるため、シッティング(座りこぎ)とダンシングを交互に使い分けるのが効果的です。

ポジションの確認で脚つりリスクを軽減

サドルが高すぎると、ペダルが下死点になったときにふくらはぎが伸び切った状態になり、痙攣につながりやすくなります。ヒルクライムを始める前に、適切なサドル高さになっているか確認しましょう。

漢方薬による脚つり対策

芍薬甘草湯の特徴と使い方

芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)は、こむら返りの対策として知られている漢方薬です。構成生薬は芍薬(しゃくやく)と甘草(かんぞう)の2つで、これらが協力して筋肉の急激な緊張をゆるめ、痛みをやわらげる作用があります。

漢方薬は作用が出るのが遅いと思われがちですが、芍薬甘草湯は即効性があることで知られています。早い場合で服用後約5〜6分で作用が現れます。作用持続時間は4〜6時間程度とされています。

この即効性から、芍薬甘草湯は「去杖湯(きょじょうとう)」という別名もあります。これは、一服すると足腰が立たないほどだった人が杖を捨てて歩けるようになるほどである、という意味です。

芍薬甘草湯の作用メカニズム

芍薬に含まれるペオニフロリンによるカルシウムイオンの細胞内流入抑制と、甘草に含まれるグリチルリチンのカリウムイオンの細胞外流出促進の相互作用により、筋弛緩作用を示すと考えられています。また、痛みの元となるプロスタグランジンの産生を抑制する作用もあります。

使用方法と注意点

芍薬甘草湯は基本的に症状が出た時にその都度飲む「頓服」で使用します。足がつった瞬間や、つりそうな予兆を感じた時に1回分を服用します。また、マラソンやヒルクライムなどの運動前に、30分程度前に服用することで予防的な使い方も可能です。ライドに1包携帯しておくと安心です。

ただし、芍薬甘草湯は漢方エキス製剤の中で最も多く甘草を含有しており、長期連用は推奨されていません。偽性アルドステロン症などのリスクがあるため、頓服での使用に留めましょう。また、足がつったからといって、短時間に何度も服用することは避けてください。(個人の使用にあたっては、医師や薬剤師にご相談ください)

夏場のヒルクライムと熱中症対策

サイクリストと熱中症のリスク

自転車で走っている時は風を受けているため気付きにくいですが、実際には大量の汗をかいており、体は水分が少なくなった状態になっています。サイクリングは風による気化が進みやすく、汗をかいている実感が少ないまま脱水が進行する危険があります。

気温30度を超える日では、1時間のライドで500ml以上の汗をかくことも珍しくありません。特にヒルクライムは平坦をのんびり走るよりもパワーを使うため、夏場に限らずこまめな水分補給が必要です。

熱中症は体温が急上昇し、正常な体温調節ができなくなる状態です。頭痛、めまい、吐き気、意識障害などの症状があり、重症になると命に関わることもあります。

夏場の水分補給の頻度と量

喉が渇く前に飲むようにすることが大切です。理想的には10分に1回(夏場なら5分に1回でもよい)は水分を補給するとよいとされています。水分補給は1時間で500cc以上飲むことが推奨されており、ヒルクライムや長時間のライドでは、塩分2〜3g毎時の摂取が目安とも言われています。

山の中では自販機のない区間が当たり前のように続くので、休憩場所や補給ポイントはあらかじめ確認しておくことが重要です。長い坂道では1.5リットルの水分を背負うハイドレーションバッグが人気で、こまめに水分補給でき、ボトルは体にかける「かけ水」用として使うこともできます。

暑さ対策のウェアと装備

ヒルクライムは通常のサイクリングよりも汗をかくので、通気性のいいサイクルジャージや速乾性と吸水性に優れたインナーを用意することが大切です。

肌が露出していると日焼けをして熱を持ってしまい、日射熱が直接身体に蓄積されて熱中症になりやすくなります。一枚布をはさむことで日射熱を防ぐことができ、吸汗速乾素材であれば気化熱によって体温を下げてくれます。アームカバーとレッグカバーは日射熱の遮断力が高く、保水性もあるためおすすめです。

暑熱順化で体を暑さに慣らす

5月から6月の梅雨入り、梅雨明けの期間に暑熱順化を意識することが重要です。少しきつめの運動強度でしっかり汗をかくペースでライドすると、本格的な夏場にも対応しやすくなります。目安としては、少しきつめの強度で30分から1時間の運動を、最低週3回の頻度で行うと2週間程度で効果があります。

熱中症の初期症状と応急処置

汗が出なくなる、意識がもうろうとする、筋肉の攣りやけいれんが起こるなどの症状が出たら、ただちに止まりましょう。涼しい場所で衣服をゆるめ、横たわり、水分・塩分補給しながら首、脇の下、股間など大きな血管がある場所を冷やすことが効果的です。首の後ろや脇の下など、太い血管が通っている部分を冷やすと体全体のクールダウンが効果的にできます。

BCAAとアミノ酸による筋肉疲労軽減

BCAAとは何か

BCAAとは製品名でもブランド名でもなく、アミノ酸の組み合わせを示した名称で、Branched Chain Amino Acidsの略称です。日本語では「分岐鎖(ぶんきさ)アミノ酸」と呼ばれています。BCAAは必須アミノ酸のうち、筋肉の回復や分解を防ぐ働きがあるとされる「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」という3種類のアミノ酸を指します。

BCAAの3つの役割

BCAAは、長時間にわたって有酸素運動を続けるロードバイクアスリートにとって注目されているアミノ酸サプリです。

筋肉の分解を抑える役割として、運動中、体はエネルギーを得るために筋肉のタンパク質を分解することがあります。BCAAを摂取することで、筋タンパク質の代わりにBCAAがエネルギー源になり、筋肉の分解を抑えることが期待されています。

筋肉の回復をサポートする役割として、運動後にBCAAを摂取することで筋肉量の維持につながるとされています。運動直後に摂取するほど筋タンパク質の合成率が高いという研究結果もあります。

疲労を軽減する役割として、BCAAは疲労を軽減し、運動中の集中力の低下を抑えることも期待されています。

BCAAの摂取タイミング

運動前(ライド前)として、運動30分前にBCAAを摂取することで、運動開始時から筋タンパク質の分解を抑えることが期待できます。また、脳の疲労感を軽減し、運動中の集中力を維持する働きも期待されています。BCAAはすでにアミノ酸の状態なので、摂取してからおよそ30分後で血中濃度がピークに達します。

運動中(ライド中)として、ロングライドでは定期的にBCAAを補給することで、疲労を溜めにくくすることが期待されます。エネルギージェルにBCAAが配合されている製品もあります。

運動後(ライド後)として、運動後できるだけ早くアミノ酸を摂取することが大切です。これによって筋肉の修復が促進され、疲労回復がスムーズに進むとされています。

BCAAと脚つりの関係

BCAAそのものは脚つりの直接的な予防効果があるわけではありませんが、筋肉疲労を軽減することで間接的に脚つりのリスクを下げることが期待できます。脚つりの原因の一つは筋肉疲労であり、疲労が蓄積した状態では筋肉の伸縮が追いつかずに痙攣が起きやすくなります。

同じ距離・道をロードバイクでトレーニングした場合、BCAAを摂取していると明らかに翌日の体の重みが変わるという体験談があります。130km程度のロングライドでも、翌日筋肉痛に悩まされることなく普段通りの生活を送ることができたという報告もあります。

初心者と熟練者の間に大きな差が表れるのは「体力」や「経験」に加えて「補給に対する意識」です。初心者こそサプリの力を借りるべきで、サプリの力を借りることでサイクリングがより楽になり、次の日に体に残る疲労も軽減されます。(※個人の感想であり、効果を保証するものではありません)

なお、BCAAの過剰摂取は、個人によってはお腹を下す場合があります。製品に記載されている推奨摂取量を守り、自分の体調に合わせて調整することが大切です。

脚つり予防のための総合的アプローチ

日常生活での心がけ

脚つり予防の基本は日常生活にあります。バランスの良い食事でミネラルを摂取し、マグネシウムを中心としたサプリメントの活用も検討してみてください。十分な睡眠をとり、適度な運動で筋力を維持することも大切です。

イベント・ライド前日の準備

イベントやロングライドの前日は特に意識して準備を行いましょう。十分な水分摂取で体内に水分を蓄え、消化の良い炭水化物中心の食事をとります。アルコールは控え、早めに就寝して睡眠をしっかりとることが翌日のパフォーマンスに影響します。

ライド当日の補給計画

スタート前には、30分〜1時間前に水分と電解質を摂取し、必要に応じてエネルギージェルを摂取します。BCAAを30分前に摂取すると効果的です。

ライド中は、30分おきにこまめに水分補給を行い、1時間あたり500〜750mlを目安にします。塩タブレットや電解質タブレットを活用し、登坂前にはしっかり補給しておきます。ロングライドではBCAAも定期的に補給しましょう。

ライド後は、失われた水分とミネラルを補充し、タンパク質やアミノ酸で筋肉の回復を促進します。運動直後のBCAA摂取が回復を早めます。

ライド中の走り方のポイント

適切なケイデンスを維持し、重すぎるギアを避けることが基本です。ダンシングを適度に取り入れて筋肉の負担を分散させ、休憩時にはストレッチを行いましょう。

いざという時の対策

芍薬甘草湯を携帯しておくと、いざという時に安心です。つった時は無理せず停止してストレッチを行い、水分と電解質を補給して回復を待ちましょう。

推奨される補給量の目安

最後に、推奨される補給量の目安を表にまとめます。

補給項目目安量
水分補給1時間あたり500〜750ml(夏場や発汗量が多い場合は増量)、体重減少が2%を超えないように
ナトリウム補給1時間で1リットルの汗をかく場合、0.75〜1.5gの塩分補給。スポーツドリンクの場合、100mlあたり40〜80mgのナトリウムを含むものを選ぶ
マグネシウム補給サプリメントからの1日最大摂取量は350mg以下。カルシウムとマグネシウムの摂取比率は2対1が理想的

これらの目安はあくまで参考値であり、個人の体格、発汗量、運動強度、気象条件によって調整が必要です。自分に合った補給方法を見つけるために、トレーニングライドで色々試してみることをおすすめします。

脚つりは適切な予防策を講じることで、そのリスクを大幅に減らすことができます。ミネラル補給のタイミングを意識し、日常的な栄養管理とライド中の適切な補給を心がけることで、ヒルクライムをより楽しむことができるでしょう。万全の準備で、安全で快適なライドをお楽しみください。

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