Wilier FILANTE SLR ID2インプレ!乗り心地と剛性をライバルと徹底比較

ロードバイク

Wilier FILANTE SLR ID2は、イタリアの名門ウィリエール・トリエスティーナが2025年に発表した第2世代の超軽量エアロロードバイクです。前作FILANTE SLRから空気抵抗を13.6%削減しながら、フレーム重量860gを維持し、BB剛性を7.49%向上させるという驚異的な進化を遂げました。乗り心地においては、独自の液晶ポリマー(LCP)技術により、エアロロード特有の硬さを感じさせない快適性を実現しています。Specialized Tarmac SL8やPinarello Dogma F、Colnago V4Rsといったライバルと比較しても、空力性能、快適性、美しさ、そして長距離を速く走るためのバランスという点で、FILANTE SLR ID2は極めて高いレベルでまとまった一台といえます。UCIワールドチームであるグルパマ・FDJとの共同開発により、実際のレース環境で求められる実戦的な速さを追求したこのバイクは、週末のロングライドからシリアスなレースまで、あらゆるシーンで「Be Your Fastest」を実現してくれる存在です。

ウィリエール・トリエスティーナとFILANTE SLRの歴史的背景

ウィリエール・トリエスティーナは、イタリア北東部ヴェネト州のロッサーノ・ヴェネトに本拠を構える老舗自転車メーカーです。1世紀以上にわたる歴史の中で、常に「美しさ」と「速さ」の融合を追求してきたこのブランドは、イタリアンバイクならではの優美なデザインと高い走行性能で世界中のサイクリストから支持を集めています。

2021年に初代FILANTE SLRが登場した際、それは超軽量エアロロードというカテゴリにおける一つの完成形として高い評価を受けました。アスタナ・カザフスタンチームをはじめとするプロフェッショナルたちの勝利を支え、レースの最前線でその性能を証明してきたのです。しかし、ウィリエールは完成されたこの名車をさらに進化させるという困難な課題に挑み、2025年に第2世代となるFILANTE SLR ID2を発表しました。

ID2という名称は、単なる改良版を意味するMK2という表記ではなく、ウィリエールの新たなアイデンティティ(Identity)革新(Innovation)の第2章を象徴するものです。この命名からも、メーカーがこのモデルに込めた意気込みの大きさが伝わってきます。

グルパマ・FDJとの共同開発が生み出した実戦性能

FILANTE SLR ID2の開発において最も決定的な役割を果たしたのが、UCIワールドチームであるグルパマ・FDJとの強力なパートナーシップです。前作がアスタナ・カザフスタンチームのフィードバックを基にしていたのに対し、ID2ではステファン・キュングやダヴィド・ゴデュ、ロマン・グレゴワールといった世界トップクラスのルーラーやクライマーたちが開発の初期段階から深く関与しています。

彼らプロ選手が求めたのは、風洞実験室のデータ上で速いだけのバイクではありませんでした。実際のレース環境、すなわち横風が吹き荒れる平原、荒れた路面の石畳、そしてグランツールの過酷な山岳ステージにおいて、ライダーが最後まで力を発揮できる実戦的な速さこそが彼らの要求だったのです。このフィードバックループにより、ID2は単なるエアロダイナミクスの向上に留まらず、ハンドリングの安定性や疲労軽減といった官能的な性能領域にまで踏み込んだ進化を遂げました。

ウィリエールが掲げる「Be Your Fastest」という哲学は、機材の性能向上だけでなく、ライダー自身が持つポテンシャルを最大限に引き出すことを目的としています。空力性能の向上はライダーが同じ出力でより速く走ることを可能にし、振動吸収性の向上はライダーの体力を温存して勝負どころでの爆発力を担保します。ID2は、この人間中心の設計哲学に基づいて細部に至るまで再設計が施されたバイクなのです。

圧倒的なエアロダイナミクスと空力性能の進化

FILANTE SLR ID2の最大のトピックは、徹底的な空力性能の刷新にあります。ウィリエールは、英国シルバーストーンにあるスポーツエンジニアリングハブの風洞実験施設を使用し、徹底的な検証を行いました。その結果、前作と比較して驚くべき数値が叩き出されています。

バイク単体での空気抵抗(ドラッグ)は前作比でマイナス13.6%を達成し、バイクとライダーを含めたシステム全体でもマイナス4.5%の抵抗削減を実現しました。これを具体的な走行データに換算すると、時速40kmで走行した場合に前作と比べて14.15ワットものパワーを節約できることになります。さらに、290ワットの一定出力で70kmの距離を走行した場合、タイムを1分45秒も短縮できるという結果が出ています。

ロードレースの世界において、機材だけで1分45秒のアドバンテージを得られるというのは極めて大きな意味を持ちます。特に集団から抜け出して独走する際や、長時間のエンデューロレースにおいて、この差は決定的な勝敗の分かれ目となるでしょう。

革新的なAerokitシステムの採用

この大幅な空力向上の核心にあるのが、新たに開発されたAerokit(エアロキット)というシステムです。これはダウンチューブとシートチューブに装着される専用のボトルとボトルケージを、フレームのエアロダイナミクスの一部として統合する画期的な仕組みです。

従来のロードバイク開発において、ボトルは空気抵抗の発生源として扱われがちでした。しかし、ウィリエールは逆転の発想で、ボトルそのものを整流板(フェアリング)として機能させることを考案しました。Aerokitのボトルはダウンチューブの後方に発生する乱流を抑え、空気をスムーズにシートチューブ側のボトルへと受け流す形状に設計されています。このシステムを使用することで、従来の円筒形ボトルを使用した場合と比較して、ボトル周りの空気抵抗を3分の2以上削減できるとウィリエールは発表しています。

もちろん、ユーザーの利便性を考慮し通常の円形ボトルも使用可能ですが、Aerokit装着時のフレームとの一体感あるシルエットは、ID2のエアロダイナミクスを視覚的にも機能的にも象徴する要素となっています。

フロントフォークとステルス・エアロフィンの技術

フロントフォークは、ホイールの回転によって生じる激しい乱流を制御するために再設計されました。フォークブレード(脚)の幅を広げることでホイールとフォークの間のクリアランスを確保し、空気が詰まることを防いでいます。また、フォークの内側はフラットな形状とされ、気流を整える工夫が施されています。

さらに注目すべき細部は、ディスクブレーキキャリパーのマウント部分に設けられた小さなエアロフィンです。これはウィリエールのTTバイク「Supersonica SLR」でテストされた技術をロードバイクに転用したもので、フロントハブ周辺のわずかな乱流さえも整流しようとする執念が感じられます。

リアトライアングルの空力最適化

リアセクションにも空力的な改良が加えられています。シートステーはライダーの脚とフレームの相互作用を動的に解析した結果、内側に2.5度傾斜させる設計が採用されました。ペダリング中、ライダーの脚は常に動き続けフレーム周辺の空気を激しく撹拌しますが、この2.5度の傾斜は脚の後ろに発生する乱流(ウェイク)を抑制し、気流をスムーズに後方へと流す効果があります。一見すると気づかないような微細な変更ですが、これこそが実走状態でのマイナス4.5%のドラッグ低減に寄与しているのです。

HUS-MODカーボンと液晶ポリマーによる剛性と快適性の両立

FILANTE SLR ID2が単なる硬いエアロロードではない理由は、その素材構成にあります。ウィリエールはカーボンファイバーの積層技術において独自の哲学を持っており、それがこのバイクの乗り味に大きく影響しています。

フレーム素材には、東レ製の最高級カーボンファイバーであるT800、T1100、そして超高弾性率を持つM46JBを独自のレシピでブレンドしたHUS-MOD(ハスモッド)カーボンが使用されています。これにより極限まで軽量化しつつ、プロのスプリントに耐えうる剛性を確保しています。

しかし、ウィリエールの技術的ハイライトはここに液晶ポリマー(Liquid Crystal Polymer = LCP)を複合させている点にあります。LCPは高い強度と耐熱性、そして優れた振動減衰特性を持つ特殊な樹脂素材で、これをカーボンの積層間に特定の方向性を持って配置することで、カーボン単体では成し得ない特性を付与しています。

LCPがもたらす振動減衰のメカニズム

カーボンフレームは一般的に硬くて脆い性質を持ち、路面からの微細な振動を伝えやすい傾向があります。これは長時間のライドにおいてライダーの疲労、すなわち筋肉の微細な損傷やストレスに直結する問題です。

LCPはこの微細な振動(マイクロバイブレーション)を効果的に吸収・減衰させる役割を果たします。ビアンキの「カウンターヴェイル(Countervail)」と同様に素材レベルで振動を除去するアプローチですが、ウィリエールのLCPは特にフレームの剛性を損なわずに、むしろ補強材として機能しながら快適性を高める点で優れています。これにより、パリッとした乾いた加速感を持ちながら、荒れた路面ではしっとりとした接地感を得られるという、相反する乗り味を両立させることに成功しています。

フレーム重量とBB剛性の数値的進化

この素材構成の最適化により、FILANTE SLR ID2はフレーム重量860g(Mサイズ、塗装済みブラック)を実現しています。さらにBB剛性(ねじれ剛性)は前作比でプラス7.49%となる201 Nm/°を達成しました。

重量を前作と同じ860gに抑えながら、空力性能を大幅に向上させ、さらにペダリング効率に直結するBB剛性を約7.5%も高めている点は驚異的といえます。これは単に素材を変えただけでなく、積層設計(レイアップ)がより洗練されたことを証明しています。

新型F-Bar ID2コックピットとAccu-Fitシステム

ハンドルバーはバイクの空力性能とライダーの快適性を左右する最重要パーツの一つです。ID2のために新開発された一体型カーボンハンドルF-Bar ID2は、グルパマ・FDJの選手たちの要望を具現化した形状となっています。

最大の特徴はO.E.F.(Optimized Ergonomic Flare)と呼ばれるフレア形状です。これはハンドルのブラケット部(上部)の幅に対してドロップ部(下部)の幅を広げた設計で、その差は約3cm(直交フレア)に設定されています。例えばブラケット幅が370mmの場合、ドロップ幅は400mmとなります。

ブラケットポジションでは幅を狭くすることでライダーの前面投影面積を減らし、巡航時の空気抵抗を削減します。また脇が締まることで体幹を使ったペダリングがしやすくなります。一方ドロップポジションでは幅を広くすることで、スプリント時や高速ダウンヒル時のコントロール性を高め、呼吸を妨げない胸郭の開きを確保します。さらにクランプボルト類は完全に隠される構造となっており、汗や汚れの侵入を防ぐとともに空力的なノイズを排除しています。

ウィリエールは一体型ハンドルにおけるサイズ選びの難しさを解消するためにAccu-Fit(アキュフィット)システムを展開しています。これはフレームサイズ、ハンドルバーステム長、スペーサーの積層量を組み合わせることで420通り以上のポジション構成を可能にするものです。フレームサイズはXSからXXLまでの6サイズ展開で、小柄なライダーから2メートル近い大柄な選手まで、適切なスタックとリーチで乗車することが可能です。

タイヤクリアランスとジオメトリの最適化

タイヤクリアランスは最大34mmまで拡大されました。これにより28mmから32mmといったワイドタイヤを装着しても十分な余裕があり、空力的に最適なタイヤとリムの組み合わせを選択できます。また、チェーンステー長はわずかに延長されており、これは1x(フロントシングル)ドライブトレインを使用した際のチェーンラインの最適化と、高速走行時の直進安定性を向上させるための措置です。

FILANTE SLR ID2のインプレッション:実走で感じる走行性能

ここでは数値データだけでは語れない、実際のライドで感じる乗り味について、様々なシチュエーションを想定して詳細に解説します。

加速性能とスプリントにおける剛性感

ペダルを踏み込んだ瞬間の反応は鋭いの一言に尽きます。BB剛性が7.49%向上した恩恵は明らかで、特に高出力で踏み込んだ際のBB周りのウィップ(たわみ)が抑制され、パワーがダイレクトに後輪へ伝わる感覚があります。しかしガチガチで足に跳ね返ってくるような不快な硬さではありません。ウィリエール特有のバネ感とも呼べる、一瞬タメを作ってから爆発的に加速するようなリズム感は健在で、ダンシングのリズムが取りやすいのが特徴です。スプリント時には広がったドロップハンドルが絶大な安心感を提供し、バイクを大きく振っても挙動が乱れません。

平坦巡航における空力効果の体感

時速35kmから40kmを超えた領域から、Aerokitとフレーム形状の真価が発揮されます。一度スピードに乗ると、ペダリングのトルクを抜いても減速感が少なく、まるで追い風を受けているかのような感覚に陥ります。これはいわゆるセイリング効果と呼ばれるものです。

特筆すべきは直進安定性です。エアロロードは横風に弱い傾向がありますが、FILANTE SLR ID2はフォークやフレームの断面形状の改良により、横風を受けてもハンドルを取られにくくどっしりとした安定感があります。これによりライダーは修正舵を当てるストレスから解放され、ペダリングに集中できます。

登坂性能とクライミングでの軽快さ

完成車重量で7.1kg(Dura-Ace Di2仕様)という軽さは、純粋なヒルクライムバイクとしても通用するレベルです。特に勾配が緩い峠やアップダウンを繰り返す丘陵地帯では、軽量性と空力性能の相乗効果で圧倒的な速さを発揮します。

激坂においても車体の軽さとリアトライアングルの反応の良さが活き、シッティングでくるくると回すペダリングもダンシングでトルクをかけるペダリングも許容します。重心バランスが優れているためダンシング時の振りが軽く、バイクが勝手に前に出ていくような感覚を味わえるでしょう。

乗り心地と快適性の評価

エアロロードは硬くて疲れるという常識は、このバイクには当てはまりません。LCP(液晶ポリマー)の効果は絶大で、アスファルトの荒れた路面から伝わるゴーッという微細な振動(ロードノイズ)が、フレームを通る過程で角を丸められ、マイルドな情報としてライダーに伝わります。

大きな段差ではさすがに衝撃を感じますが、収束が早いためバイクが跳ねてトラクションを失うことがありません。30mm前後のチューブレスタイヤを低圧で運用すれば、エンデュランスロード並みの快適性を得ることができ、200kmを超えるようなロングライドでも後半まで脚を残せる優しさを持っています。

ハンドリングとコーナリング性能

ハンドリングは過敏すぎずかといって鈍重でもないニュートラルな味付けです。コーナーへのアプローチで視線を向ければ自然とバイクが倒れ込み、クリッピングポイントを狙ったラインを正確にトレースします。

特に下り坂での安定感は抜群で、フォークの剛性アップとワイドなタイヤクリアランス、そして低重心化された設計が高速コーナーでの恐怖心を拭い去ってくれます。ブレーキ性能もエアロフィンによる冷却効果への期待も含め、ディスクブレーキの強力なストッピングパワーをしっかりと受け止めるフレーム強度があります。

ライバルバイクとの詳細比較

ここからはFILANTE SLR ID2と競合する最新のハイエンド・エアロロードとの詳細な比較を行います。比較対象はSpecialized Tarmac SL8、Pinarello Dogma F、Colnago V4Rsの3台です。

Specialized Tarmac SL8との比較

Specialized Tarmac SL8は現在のロードバイク市場におけるベンチマーク的存在です。重量面ではTarmac SL8(S-Works)のフレーム重量が685gと驚異的で、FILANTE SLR ID2の860gよりも約175g軽量です。絶対的な軽さとヒルクライムでの軽快さを最優先するならSL8に分があります。

空力面では共にトップクラスですが、SL8はSpeed Snifferと呼ばれる突き出したヘッドチューブ形状で空力を稼いでいます。一方FILANTEはAerokitを含めたトータルパッケージでの空力最適化を図っており、実走レベルでの差は僅差といえるでしょう。

乗り味においてはSL8が非常に剛性が高く反応が極めて鋭いレーシングカー的な乗り味であるのに対し、FILANTEはLCPによる振動減衰が効いておりよりシルキーで有機的な乗り心地です。長距離での快適性はFILANTEが優れる傾向にあります。

Pinarello Dogma Fとの比較

Pinarello Dogma Fは同じイタリアンブランドとして美学と性能を競う宿命のライバルです。重量面ではDogma FもモデルチェンジでクⰃ量化を進めていますが、FILANTE SLR ID2とほぼ同等の重量帯にあります。

空力とデザインにおいては、Dogma FがONDAフォークや複雑な曲面を多用した有機的で筋肉質なエアロ形状が特徴的であるのに対し、FILANTEは直線と曲線を調和させたクリーンでエレガントなエアロ形状を採用しています。空力性能に対するアプローチは異なりますが、どちらも世界最高峰のレベルにあります。

乗り味においてはDogma Fが路面に張り付くような接地感と表現される重厚かつ濃厚なハンドリングが特徴であるのに対し、FILANTEはより軽快で乾いた反応性を持っています。Dogmaが高級GTカーなら、FILANTEはライトウェイトスポーツカーのような印象の違いがあります。価格面ではDogma Fが一般的に非常に高価であり所有欲を満たすブランド力が強い一方、FILANTEもAerokitなどの独自ギミックやウィリエールならではの塗装の美しさで対抗しています。

Colnago V4Rsとの比較

Colnago V4Rsはタデイ・ポガチャルが駆る質実剛健なオールラウンダーです。剛性面ではV4Rsがプロ選手の強大なパワーを受け止めるため非常に硬いフレーム剛性を持っていますが、FILANTE ID2も剛性は高いものの、より一般ライダーにも扱いやすいタメのある剛性感が残されています。

キャラクターの違いとしては、V4Rsが勝つための道具としての機能美を追求したストイックなバイクであるのに対し、FILANTE ID2は速さの中に美しさ遊び心(カラーリングやAerokit)を融合させたイタリアの色気を感じさせるバイクです。

ライバル比較の結論

究極の軽さと登坂性能を求めるならSpecialized Tarmac SL8が適しており、ブランドの威光と重厚な安定感を求めるならPinarello Dogma Fが選択肢となります。プロスペックの剛直な反応性を求めるならColnago V4Rsが候補に挙がるでしょう。そして空力、快適性、美しさ、そして長距離を速く走るバランスを求めるならWilier FILANTE SLR ID2が最適解といえます。

FILANTE SLR ID2はこれらライバルたちと比較しても、エアロロードでありながらエンデュランスロードのような快適性を持ち、軽量クライミングバイクのような登坂力を持つという、極めて高いレベルでバランスの取れた一台といえます。

カラーバリエーションとデザインの美学

ウィリエールのバイクを語る上で欠かせないのがその美しい塗装です。ID2ではスピードを視覚的に表現するカラーパレットが用意されています。

Pure White(ピュア・ホワイト)は雪のように白く光を反射して輝くカラーで、Aerokitとの一体感が最も際立つ仕上げです。Solar Bronze(ソーラー・ブロンズ)は夕陽を浴びた砂金のように温かみのあるメタリックな輝きを放ちます。Aurora Blue(オーロラ・ブルー)はプレミアムペイントとして用意され、光の当たり方で表情を変える深みのある青が特徴です。Lunar Grey(ルナ・グレー)は月面のような静寂を感じさせる、紫と銀の反射を含む深いグレーとなっています。Eclipse Black(エクリプス・ブラック)は黒曜石のような深い艶を持つ黒で、カーボン地を透かして見せる演出が含まれる場合もあり軽量性を象徴しています。

これらのカラーは「Fragments de Métamorphose(変容の断片)」というテーマの下、見る角度や光の加減で表情を変え、オーナーの所有欲を深く満たします。

価格とスペック情報

ハイエンドモデルであるため価格もそれ相応の設定となっています。フレームセットの価格は欧州参考価格で5,800ユーロからスタートします。完成車としてはShimano Dura-Ace Di2やSRAM Red AXS、Campagnolo Super Record Wirelessといった最上級コンポーネントに加え、Miche製の高性能ホイール「Kleos RD 50」などが組み合わされ、100万円を大きく超えるプライスタグが付けられます。

しかしAerokitや一体型ハンドルが含まれるパッケージングを考慮すると、競合他社のハイエンドモデルと比較しても競争力のある価格設定といえるでしょう。

まとめ:FILANTE SLR ID2が提供する価値

Wilier FILANTE SLR ID2は、初代FILANTEが築き上げた軽量エアロロードという地位を、グルパマ・FDJとの共創によって実戦的オールラウンダーへと昇華させた傑作です。

このバイクが提供する価値として、まずAerokitと13.6%のドラッグ削減による平坦路での圧倒的な巡航性能という目に見える速さがあります。次にLCP素材による振動減衰がもたらす長距離ライドでの疲労軽減という体に優しい速さがあります。そしてイタリアの美意識が凝縮されたデザインと塗装クオリティによる所有する喜びがあります。

もしあなたがレースで勝ちたい、週末のロングライドをより速く快適に走りたい、床の間に飾っても絵になるバイクが欲しいという欲張りな願望を持っているなら、FILANTE SLR ID2はその全てに応える数少ない選択肢です。Tarmac SL8のような軽さ特化型でもなく、Dogma Fのような重厚感とも違うウィリエール独自の軽やかで、速くて、美しい世界観を手に入れることは、あなたのサイクリングライフにおける「Be Your Fastest」を実現する最短ルートとなるでしょう。

Aerokitという新たな武器を手に入れたこのイタリアの疾風(Filante)は、2025年現在のロードバイク市場において最も魅力的で最も速い選択肢の一つです。

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