Domane+ SLR 7をトレック・ジャパンが発表|150万円の電動アシストロードバイクの実力

ロードバイク

トレック・ジャパンが発表した新型Domane+ SLR 7は、価格1,500,000円(税込)、完成車重量約12.65kgを実現した2026年モデルの電動アシストロードバイクです。2025年12月12日の発表では、新型モーター「TQ-HPR60」の搭載による最大トルク60Nm・最大出力350Wへの性能向上と、Shimano Di2との電源統合システムが大きな注目を集めました。Domane+ SLRシリーズは、モーターとバッテリーを搭載しながらも一般的な軽量アルミロードバイクに匹敵する重量を達成し、ハイパフォーマンス電動アシストロードバイク(e-Road)の新たな基準を打ち立てています。

この記事では、Domane+ SLR 7の技術的特徴からTQ-HPR60モーターの性能、800シリーズOCLVカーボンフレームの軽量設計、IsoSpeedテクノロジーによる振動吸収性能、そしてTrek Centralアプリとの連携機能まで、トレック・ジャパンが送り出す最新e-Roadの全貌を詳しく解説します。電動アシストロードバイクの購入を検討している方や、体力の変化によりロードバイクから離れつつあるベテランライダーの方にとって、Domane+ SLRがどのような価値を提供するのかを明らかにしていきます。

Domane+ SLR 7とは|トレック・ジャパンが送り出す最新e-Roadの全体像

Domane+ SLR 7とは、トレック・ジャパンが2025年12月12日に発表した2026年モデルの電動アシストロードバイクです。e-Road(電動アシストロードバイク)カテゴリーにおいて、軽量性と走行性能を極限まで追求したハイエンドモデルとして位置づけられています。

このモデルの最大の特徴は、電動アシストシステムを搭載しながらも完成車重量約12.65kg(サイズ56)という驚異的な軽さを実現している点にあります。この数値は、モーターやバッテリーを持たない一般的な軽量アルミロードバイクに匹敵し、一部のエントリーカーボンロードバイクをも凌駕する水準です。価格は1,500,000円(税込)と設定されており、趣味性の高いラグジュアリープロダクトとしての価値を認める層に向けた製品となっています。

カラーリングには「Matte Deep Smoke」が採用されました。このステルス性を強調したデザインにより、一見してe-Bikeとは判別できないほど洗練された外観を実現しています。従来の電動アシスト自転車は、モーターやバッテリーの存在感が目立つデザインが多く見られましたが、Domane+ SLR 7ではそうした「いかにも電動」という印象を排除し、純粋なロードバイクとしての美しさを追求しています。

日本市場において、このようなハイエンドe-Roadは独自の立ち位置を築いています。日本の道路環境は欧米と比較して信号によるストップ&ゴーが多く、また山岳地帯が都市部に近接しているという特徴があります。そのため、軽量かつ登坂性能に優れたバイクへの需要が常に存在しており、Domane+ SLR 7はまさにこうした日本特有のニーズに応える製品といえます。

TQ-HPR60モーターの特徴|60Nm・350Wを実現した新世代ドライブユニット

Domane+ SLR 7の心臓部には、ドイツのロボット工学企業TQグループが開発した新型モーター「TQ-HPR60」が搭載されています。TQ-HPR60とは、従来モデルに搭載されていた「TQ-HPR50」の後継となるドライブユニットであり、最大トルク60Nm・最大出力350Wという性能を実現した電動アシストロードバイク用モーターです。

このモーターの核心技術は「HPR(Harmonic Pin Ring)」と呼ばれるトランスミッションシステムにあります。従来の多くの電動アシストバイクモーターは、内部に遊星ギアやベルト駆動を用いてモーターの回転数を減速し、トルクを増幅させる方式を採用していました。しかし、この方式には高周波ノイズ(モーター音)の発生、内部摩擦による抵抗、ユニットの大型化といった物理的な制約が伴います。

対してTQのHPRシステムは、同心円状に配置された楕円形の波動発生器と内歯・外歯のリングギアを組み合わせることで、極めて少ない部品点数で高い減速比を実現しています。この構造がもたらす最大のメリットは圧倒的な静粛性です。走行中はタイヤのロードノイズや風切り音にかき消されるほどの静音性を維持しており、自然の中を走るロードバイクの体験において没入感を阻害しない設計となっています。

TQ-HPR60の性能向上を前作HPR50と比較すると、その進化の幅が明確になります。まず最大トルクは50Nmから60Nmへと20%向上しました。ロードバイクにおいて60Nmというトルクは、急勾配の坂道区間において決定的な違いを生み出します。従来の50Nmでは体重のあるライダーや15%を超えるような急勾配でわずかにパワー不足を感じる場面がありましたが、60Nmへの強化により座ったままでも余裕を持って激坂をクリアできるようになりました。

最大出力も300Wから350Wへと約17%向上しています。この出力向上は、向かい風の中での巡航維持やコーナー立ち上がりでの加速において、より力強いアシスト感を提供します。重要なのは、この出力向上が唐突な加速ではなく、HPR特有の自然なフィーリングを維持したまま実現されている点です。

熱マネジメントの面でも改善が図られました。TQ-HPR60では冷却フィンの設計が見直され、熱容量が増大しています。電動アシストバイクのモーターは長時間高負荷で使用すると発熱し、システム保護のために出力を制限することがあります。この現象は「熱ダレ」と呼ばれ、長い峠道などで問題となることがありました。HPR60ではこの耐性が強化されており、富士山や乗鞍のような長大なヒルクライムにおいても最後まで安定したパフォーマンスを発揮し続けることが可能になりました。

さらに、出力が向上しながらもバッテリー消費の増大を抑えている点も注目に値します。HPR60は内部効率の改善によりエネルギーロスを低減しており、360Whというバッテリー容量を変えることなく実用的な航続距離を維持しています。

TQモーターのもう一つの大きな利点として、Qファクターの適正化が挙げられます。Qファクターとは左右のクランク間の距離を指す用語で、TQモーターはユニット幅が狭いため約135mmという数値を実現しています。これは一般的な非電動ロードバイクのコンポーネントとほぼ同等の数値です。多くのミッドドライブモーターは構造上Qファクターが広がりがちで、長年ロードバイクに乗ってきたライダーにとって違和感や膝の痛みの原因となることがありました。Domane+ SLRはこのQファクターを適正値に保つことで、ライダーが長年培ってきたペダリングスキルをそのまま活かせる設計となっています。

800シリーズOCLVカーボンフレームの軽量設計|12.65kgを実現した技術

Domane+ SLR 7のフレーム素材には、トレックの最高グレードである「800シリーズOCLV(Optimum Compaction Low Void)カーボン」が使用されています。800シリーズOCLVカーボンとは、標準的なカーボン素材よりも強度が30%高い特性を持つ高性能素材であり、この採用がDomane+ SLR 7の軽量化における最大の鍵となっています。

電動アシストバイクのフレームは、モーターの高出力を受け止める必要があるため、通常は強度確保のために重量増を余儀なくされます。しかし、800シリーズOCLVカーボンは高い強度を持つため、積層を薄くしても必要な剛性を確保できます。この素材特性により、モーターとバッテリーを搭載した状態でも約12.65kg(サイズ56)という軽量化が実現されました。

軽いフレームがもたらすメリットは、単に持ち運びが楽になるだけではありません。走行中の「振り」の軽さに直結するという点が、ロードバイクとしての楽しさを決定づける重要な要素となります。ダンシング(立ち漕ぎ)をした際にバイクが左右にスムーズに振れるかどうかは、ライダーの体験に大きく影響します。Domane+ SLRは重量物がボトムブラケット周辺(モーター)とダウンチューブ(バッテリー)に集中している低重心設計を採用しており、ダウンヒルやコーナーリングにおいて重量を感じさせない軽快な挙動を示します。

フレーム形状にも空力性能への配慮が見られます。カムテール形状のフレーム(KVF形状)を採用することで、空気抵抗を低減しています。この形状は、前面からの空気を滑らかに後方へ流す効果があり、平坦路や下り坂での高速巡航時にその効果を発揮します。

ホイールには「Aeolus Pro 37」が装着されています。このホイールもエアロ性能を考慮した設計がなされており、フレームとの相乗効果により優れた空力特性を実現しています。これらの設計により、日本の法規制でアシストが停止する時速24kmを超えた後も、ロードバイク本来の空力と慣性を活かした走行が可能となっています。

IsoSpeedテクノロジーによる振動吸収|長距離走行を支える快適性

Domane+ SLR 7には、Domaneシリーズのアイデンティティである「IsoSpeed」テクノロジーがe-Road用に最適化されて搭載されています。IsoSpeedとは、シートチューブをトップチューブから独立させ、接合部を可動式にすることで路面からの衝撃をフレームのしなりによって吸収するシステムです。

電動アシストバイクは車重があるため、路面の凹凸から受ける突き上げエネルギーも通常のロードバイクより大きくなる傾向にあります。Domane+ SLRのリアIsoSpeedは、サドルに伝わる微細な振動(高周波振動)から段差などの大きな衝撃(低周波振動)までを効果的にいなし、ライダーの疲労蓄積を大幅に軽減します。この乗り心地は「魔法の絨毯」とも形容され、バッテリーが続く限りどこまでも走り続けたいと思わせる快適性を提供しています。

フレーム設計(ジオメトリー)は、長距離走行に適した「エンデュランスジオメトリー」を採用しています。ヘッドチューブがやや長く設計されているため、ハンドル位置が高くなり、極端な前傾姿勢を強いられません。これにより首や背中への負担が減り、呼吸がしやすくなるため、長時間の有酸素運動に適した姿勢を維持できます。

タイヤクリアランスについても注目すべき点があります。Domane+ SLR 7は最大40mm幅のタイヤに対応するクリアランスが確保されています。標準装備は32mmタイヤですが、これを40mmのグラベルタイヤに換装すれば、舗装路だけでなく砂利道や林道などの未舗装路(ライトグラベル)へも足を伸ばすことができます。この汎用性の高さは、Domane+ SLRを単なるロードバイクの枠を超えた全地形対応アドベンチャーバイクへと昇華させています。

32mmタイヤとチューブレスレディ仕様の組み合わせは、路面追従性を高める効果もあります。荒れたアスファルトやグレーチングの上でもタイヤが跳ねることなく、常にトラクション(接地力)を維持します。IsoSpeedとワイドタイヤの相乗効果により、安全性の向上にも直結する走行安定性が実現されています。

Di2電源統合システム|充電管理を一元化した革新的設計

2026年モデルにおける実用面での最大の進化の一つが、Shimano Di2(電動変速機)の電源統合システムです。従来の電動アシストバイクでは、モーターアシスト用のメインバッテリーとは別に、変速機用の小型バッテリーをシートポスト内などに搭載する必要がありました。そのためユーザーは「アシスト用」と「変速用」の2つのバッテリーを別々に充電・管理しなければならず、どちらか一方でも充電を忘れるとライドに支障をきたすという課題がありました。

新型Domane+ SLR 7では、Di2システムへの給電がTQのメインバッテリー(360Wh)から直接行われる設計に変更されました。この変更により、メインバッテリーを充電するだけで変速機の電源も確保されるようになりました。充電管理の一元化は、ユーザーの手間を大幅に削減する実用的なアップデートといえます。

メンテナンス性の向上も見逃せないポイントです。変速用バッテリーが廃止されたことで、シートポスト内の配線が簡素化され、トラブルのリスクが減少しました。また、独立したバッテリーとそのホルダー分の重量が削減されており、わずかながら軽量化にも貢献しています。

コンポーネントには「Shimano Ultegra Di2 R8170(12速)」が採用されています。セミワイヤレス化されたこのシステムは、レバーと変速機間の配線が不要であるため、ハンドル周りの見た目が非常にクリーンに仕上がっています。リアディレイラーとフロントディレイラーはバッテリーに有線接続となりますが、前述の電源統合システムによりメインバッテリーから給電されます。

Ultegraの油圧ディスクブレーキは、電動アシストバイクの重量と速度を確実にコントロールするための強力な制動力を備えています。繊細なスピードコントロール性能(モジュレーション)も兼ね備えており、下り坂での安心感を高めています。変速スピードは人間が指を動かす速度よりも速く、登り坂で負荷がかかった状態でもスムーズにギアチェンジを行うことができます。ストレスフリーな変速と自然なアシストの組み合わせが、Domane+ SLRのライドクオリティを支える重要な要素となっています。

バッテリー性能と航続距離|360Whバッテリーとレンジエクステンダー

Domane+ SLR 7に搭載されるメインバッテリーは360Whの容量を持ち、ダウンチューブに完全に内蔵されています。この容量は重量と航続距離のバランスを考慮した最適解として設定されており、エコモードでの航続距離は約96kmとされています。獲得標高1,000m程度を含む一般的な日帰りライドであれば十分カバーできるスペックです。

さらに長距離を走る場合や高いアシストモードを多用したい場合には、オプションの「レンジエクステンダー(160Wh)」が利用可能です。これはウォーターボトルケージに装着できるボトルサイズの外部バッテリーで、メインバッテリーと合わせると合計520Whの容量となります。これにより航続距離は最長約145kmまで伸長し、センチュリーライド(160km)に近い距離でも安心して走破することが可能になります。

電動アシストバイクにおいて、バッテリー残量の不安は常につきまとう課題です。特に山岳地帯でのライドでは、帰路の登り返しでバッテリーが切れる「電欠」への恐れが行動範囲を制限することがあります。Domane+ SLR 7は、十分な基本容量とレンジエクステンダーによる拡張性の両方を備えることで、この不安を軽減しています。

Trek Centralアプリとの連携|カスタマイズと航続距離予測

Domane+ SLRの体験は、ハードウェアだけでは完結しません。専用アプリ「Trek Central」との連携により、その機能はさらに拡張されます。Trek Centralアプリを使用すると、3つのアシストモード(Eco、Mid、High)それぞれの特性を詳細に調整することが可能です。

調整可能なパラメータには、Max Power(最大出力)、Assist Factor(アシスト比率)、Pedal Response(レスポンス)があります。Max Powerではモーターが出すワット数の上限を設定でき、これを抑えることでバッテリー消費を節約できます。Assist Factorではライダーの踏力に対してどれくらいの割合でアシストするかを設定し、Pedal Responseではペダルを踏んでからアシストが立ち上がるまでの反応速度を調整できます。

この細かなカスタマイズ機能により、トレーニング目的で乗る日はアシストを弱めに設定する、グループライドで遅れないようにレスポンスを速くするといった使い分けが可能になります。ライダーの目的や状況に応じた最適なアシスト特性を設定できる点は、単なる移動手段としてではなくスポーツとして電動アシストバイクを楽しむ層にとって大きな魅力となっています。

特筆すべき機能として「Range Cloud」があります。これは現在のバッテリー残量、設定されたアシストモード、ライダーの体重、そして地形データ(標高差)を総合的に計算し、あとどこまで走れるかを地図上にアメーバ状の範囲として表示する機能です。単なる「残り〇〇km」という表示ではなく、「この峠の向こうまでは行けるが、帰りはEcoモードにしないと厳しい」といった具体的な判断が可能になります。これにより電欠への不安(レンジ・アンザイエティ)から解放され、より冒険的なルート開拓が可能になります。

アシスト切れ後の走行性能|時速24kmの壁を超えた先

日本の法規制において、電動アシストバイクのアシストは時速24kmで停止しなければなりません。多くの電動アシストバイクにとって、この「アシスト切れ」の瞬間が最大の弱点となります。アシストが切れた途端にモーターの内部抵抗(ドラッグ)と車重がライダーにのしかかり、ペダルが急激に重く感じる「壁」が存在するからです。

しかし、Domane+ SLRに搭載されたTQ-HPR60は、この内部抵抗が極限まで低減されています。波動発生器とリングギアの接触点が少なく、フリーホイール機構が優秀であるため、アシストが切れた後もペダリングにブレーキがかかる感覚がほとんどありません。

空力性能に優れたカムテール形状のフレームとエアロ性能の高いAeolus Pro 37ホイールの効果により、平坦路や下り坂では時速30km以上での巡航も容易です。登り坂ではモーターの恩恵を受け、平地や下りではロードバイク本来の空力と慣性で走るという、ハイブリッドな走り方が可能になります。これにより平均速度は一般的なロードバイクよりも大幅に向上します。

重量物が車体の中心下部(ボトムブラケット周辺とダウンチューブ下側)に集中しているため、重心は非常に低くなっています。これはコーナーリング時の安定感に大きく寄与し、ロードバイク特有のヒラヒラとした軽快感を残しつつ、路面に吸い付くような接地感(トラクション)が得られます。特に下り坂のコーナーでは、従来の軽量ロードバイク以上の安心感を持ってバイクを倒し込むことができます。

競合モデルとの比較|ハイエンドe-Road市場でのDomane+ SLRの位置づけ

ハイエンドe-Road市場には、Specializedの「Turbo Creo 2」など強力な競合が存在します。Domane+ SLR 7は、この市場においてどのような位置づけにあるのでしょうか。

重量と素材の観点では、Domane+ SLR 7の約12.65kgは同クラスの競合と比較してもトップクラスの軽さを誇ります。800シリーズOCLVカーボンの採用により、フレームの剛性感と反応性はピュアレーシングバイクに肉薄する水準に達しています。

項目Domane+ SLR 7Turbo Creo 2(参考)
最大トルク60Nm50Nm
最大出力350W320W
重量約12.65kg約12.7kg前後
サスペンションリアIsoSpeedフロントFuture Shock

モーター特性においては、新型TQ-HPR60(60Nm/350W)がトルクと出力の両面で優位に立っています。特に60Nmのトルクは、日本の急峻な山岳道路において明確なアドバンテージとなります。また、TQモーターの静粛性は競合他社と比較しても頭一つ抜けており、モーターの存在感を消すという点において優れた特性を示しています。

サスペンション機構については、設計思想の違いが見られます。Turbo Creo 2がフロントフォークにダンパー「Future Shock」を搭載しているのに対し、Domane+ SLRはリアに「IsoSpeed」を搭載しています。フロントサスペンションはハンドルへの衝撃吸収に優れますが、重量増とメンテナンスの複雑化を招きます。対してIsoSpeedは構造がシンプルで軽量であり、サドルに座った状態での快適性、特に腰への負担軽減にフォーカスしています。シッティングで淡々と距離をこなすエンデュランスロードの性格に適した設計思想といえます。

Domane+ SLR 7の購入を検討すべき人|どのようなライダーに適しているか

Domane+ SLR 7は、特定のライダー層にとって非常に魅力的な選択肢となります。まず、加齢や体力の変化によりロードバイクから離れつつあったベテランライダーにとって、このバイクは再びサイクリングの楽しみを取り戻すための有力な手段となります。かつて走れていた峠道を再び楽しむことができ、仲間とのグループライドにも遅れることなく参加できるようになります。

より長い距離と獲得標高を求めてe-Bikeへの移行を検討しているシリアスライダーにも適しています。Domane+ SLR 7は、電動アシストを「補助」ではなく、サイクリングの可能性を「拡張」するものとして捉える設計がなされています。360Whのバッテリーとレンジエクステンダーによる航続距離、そしてTQ-HPR60の60Nmトルクは、これまで体力的に諦めていたルートへの挑戦を可能にします。

ロードバイクとしての純粋な走行感を重視する層にも、Domane+ SLR 7は応えています。約135mmのQファクターにより従来のペダリングスキルがそのまま活かせ、IsoSpeedによる快適性とOCLV 800カーボンによる軽快なハンドリングは、モーターの有無を意識させない走りを実現しています。

まとめ|e-Roadの完成形としてのDomane+ SLR 7

2025年12月12日に発表された新型Domane+ SLR 7は、電動アシストロードバイク(e-Road)というカテゴリーが黎明期を脱し、一つの完成形に到達したことを示す象徴的なモデルです。

TQ-HPR60モーターへの換装によるパワーとトルクの増強は、これまで「軽量e-Roadは坂道が少し物足りない」と感じていた層の不満を解消しました。それでいて、800シリーズOCLVカーボンによる軽量性、IsoSpeedによる快適性、そしてHPRシステムによる圧倒的な静粛性は、ロードバイク本来の魅力を何一つ犠牲にしていません。

Shimano Di2との電源統合に見られるような、ユーザーの実用性に配慮した細やかなアップデートも、トレックというブランドの成熟度を示しています。1,500,000円(税込)という価格は、単なる自転車として見れば高額です。しかし、このバイクが提供するのは失われた体力の回復であり、諦めていた絶景へのパスポートであり、そして仲間と共に走る喜びの再発見です。

Domane+ SLR 7は、電動アシストがもはや「異端」や「補助」ではなく、サイクリングの楽しみを拡張するための正統な進化であることを、最も洗練された形で証明する一台となっています。トレック・ジャパンが送り出すこの最新e-Roadは、日本の四季折々の風景の中を風の音だけを聞きながら駆け抜けるための、現時点における最良の選択肢といえるでしょう。

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